何かのきっかけになれば
ちょっと前の話を。
今の場所に移転して、施設としては地域とのつながりが強まることに。
その1つの例として、すぐ隣にある中学校から「職場体験」の依頼があり、施設としても受けることに。ただ対象が卒業直前の3年生とのことで、卒業を目の前にしての総合学習に「どうなのかなぁ・・・」と個人的に思う部分はあることに。
ただ、自分とのかかわりはどちらかというと薄め。
自分が業務に入らない時に中学生が体験をしているので、すれ違いの状態。それでも最終日はみっちり自分が担当をしました。もちろん自分の担当なので、普段学校ではやらないであろう「紙すき」と「袋づくり」を体験してもらいました。
体験に来たのは4人。しかし実際に来ていたのは3人。
話を聞くところによると、3人は希望した学校に進学できることになったけど、1人は希望が叶わなかったとのこと。大体の人は希望した学校に進学できる今の時代に、理由はどうであれ希望通りにならなかったというのは、中学生にとっては人生最初の「挫折」でもあること。落ち込んでいる中で職場体験をするその思い・・・気持ちは察します。
ただ、その子も最終日は参加することに。
その話を何となく聞いていた自分は、袋づくりをしていたその子に、あえてこんな言葉をかけました。
「うん、上手。初めてやってきれいに作れて、上手だよ。」
いや、事実上手だったんですよ。
別に持ち上げたわけでもなく、最初は作るのを苦戦していた利用者さんから見れば、最初のレクチャーだけでキチンと折れている袋を作れたのは器用でもある証。その子には自分に自信を持ってほしい、この先色々と辛い思いを持つかもしれないけど、小さなことでも自分には誇れるものがあることを知ってほしいという深い意味を込めて「上手だよ」と評価しました。
そして先日、学校から「総合学習のまとめ」のレポートと中学生の手紙が来ました。
レポートはさらっと流し読みをしましたが、手紙にはその生徒さんから「紙袋を作った時に、上手と言われてうれしかった」とありました。自分の思った受け取り方をしてもらえたかどうかはわかりませんが、少なくとも自分が評価したことでその生徒さんには1日の体験で何かを残してもらえたのかな、と勝手に感じています。正直職場体験どころじゃないと思うけど、それでもせっかく来た1日だから、その1日の中で「何かのきっかけ」になればとの思いがあります。別に福祉の仕事に就いてほしいなんてことは思っていません。でも「あの時の体験が」とふとした時に振り返って、自分の良さに気が付いてもらうことができれば、それだけで十分に目的は達したかなと思います。
もうすぐ新年度。新しい生活を迎える人たちへ・・・ファイト!
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