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思ひ出アルバム

  • 卒業式が終わって・・・
    以前HPで行っていた「todya's photo」の写真や「御岳写真館」で使用していた写真を再び復活させるべく、「思ひ出アルバム」として随時更新していきたいと思います。また最近の写真でも「思ひ出」となるものについては、ここに納められていくことになるでしょう。

福祉

2013.03.25

本当に必要なものなのか?

Yahooニュース「『生活保護通報』小野市条例案が成立へ 反響1700件」

 生活保護や児童扶養手当を受ける人たちがパチンコやギャンブルに浪費しているのを見つけた市民に通報を義務づける兵庫県小野市の市福祉給付制度適正化条例案が、25日の常任委員会で全会一致で原案通り可決された。27日の本会議で成立する見込みで、4月から施行となる。蓬莱務(ほうらいつとむ)市長(66)肝いりの条例案に1700件超の意見が寄せられたが、6割は賛成の内容だ。
 「生活保護に対する無関心を改め、意識改革を図りたい」。蓬莱市長は11日の本会議でこう述べた。浪費だけでなく、保護が必要な人の通報も求めていることから「(生活困窮者の)監視ではなく、見守りの強化が目的。受給者の増加はあり得る」と主張する。
 条例案をめぐっては市議会で(1)保護費の使い道の規制に踏み込むことは妥当か(2)通報によって受給者のプライバシーを侵害する恐れはないか、が主な論点。市側は(1)には「現行法が不明瞭なままにしている(受給者の)生活上の義務規定を、部分的に明文化したものに過ぎない」、(2)には「罰則規定はなく、強制力を伴うものではない。通報するか否かは個人の自由意思に任されている」と説明した。市議会(16人)で反対の議員は1人だ。(朝日新聞)

今回の考えは、批判されることが多いものと思っています。
批判されるのを承知で、書きたいと思います。

血税をパチンコやギャンブルに消費することの国民感情は理解できます。
そんなことをするなら、保護を打ち切ってしまえ、という考え、理解できます。それを市民に通報義務をつけるというのは、果たして適切なのでしょうか。

はっきり言ってしまえば、「保護費の裁量」は本人に与えられているものではありません。
あくまで保護をするか否かは知事の判断。その権限を市区町村に委ねているのであり、実際の裁量は現場で働くケースワーカーによる部分が大きいもの。もっと言えば、そこにはある種の「黙認」というものもあるのではないかと思います。

であれば、被保護者に対する処遇をどうするのかは役所の仕事。
この制度、「国民」の名を利用した役人の権利濫用ではないかと思います。通報がなくても不適切な使い方があればケースワーカー・福祉事務所長(実際は市区町村の担当部長がほとんど)の職権で保護停止をすることができるはず。でも実際にはできないから、「市民からの通報があった」ということを大義名分として保護費の抑制を図ろうとしているのではないか、と考えてしまいます。

要は「そんなことを、市民に押し付けるな」ということです。
「市民に関心を持ってもらいたい」とのことだけど、であればもっと根柢の部分の関心が必要ではないか。ニュースでは盛んに「保護費の貰い得」を伝えているけど、なんで貰うようになったのか、その構造的社会背景にはどんなものがあるのか、ということを発信していく方が大事なのではないか、と思います。何故精神疾患を持った人が多く受給をして、就労に結びつかないのか、みたいな部分も理解する必要があるのではないのか。まぁ「精神疾患が・・・」というのはあくまで個人的な見方ですが、ほんの少しの「息抜き」も認めないのか、という気持ちもあります。もちろん程度問題であり、あまりにも逸脱している場合には当然ながら保護停止になってもやむを得ないと思いますが、一言で「これはダメ、あれはダメ」と決められるものではないと思います。

言うまでもありませんが、パチンコやギャンブルで儲ければ、申告義務があります。
当然ながら娯楽で得た金品も「収入」であり、申告をすれば、その分だけ保護費が削られます。申告しなければ保護は停止です。赤字になっても、追加の保護費の支給はありません。あたりまえのことです。結局のところ、ギャンブルは何の得にもならないということです。それが理解できない、というのも、一種の障害なのかもしれません。もちろん、労働収入は取り扱いが別で、働いて得た収入の一部は自立の助長のために控除されて、残った金額を収入として認定し、保護費の一部を減らします。しかしギャンブルと違いますから収入の全部が保護費削減の対象ではなく、収入の一部のみが対象です。ですから、結果的には保護費以上の金品が手元に残るように設計されています。ここもまた、ギャンブルをする人のすべてが就労していないと言い切れるのか、とも思います。

非常に難しい問題ではありますが、こんな制度を作るのであれば、もっと役所の人間が働け、と思います。

2012.11.05

99%が表わすもの

先日この記事を書こうと思ったのですが、自分のミスで書いた内容を消してしまいました。なので、改めて取り上げなおします。

Yahooニュース「<就労障害者>公的支援含めても年収200万円以下99%」

 福祉作業所など就労支援を中心とした福祉サービスを利用している障害者の約99%が、障害手当などの公的支援を含めても年収200万円以下の「ワーキングプア」と呼ばれる生活水準にとどまっていることが、全国の障害者福祉施設でつくる団体「きょうされん」(東京都)の全国調査で分かった。なかでも年収100万円以下が半数以上を占める状況で、障害者の自立を取り巻く厳しい環境がデータで裏付けられた形だ。
 同団体は11年11月~12年2月、加盟施設などを通じ、身体、知的、精神などの障害者で、通所施設などで働く本人やその家族らにアンケート。約1万人(平均40.4歳)の回答を得て、同10月、報告書をまとめた。
 報告書によると、障害年金や生活保護、障害手当、給与、工賃などを合わせた月収は「4万2000円以上8万3000円未満」が最多の41.1%。続いて「8万3000円以上10万5000円未満」が28.5%だった。年収では「100万円以下」が56.1%、「200万円以下」は98.9%に上った。
 国税庁の民間給与実態統計調査(10年)によると、「200万円以下」は22.9%で、障害者の収入が低水準である実態が明らかになった。
 また、生活状況(複数回答)では、「親と同居」56.7%、「きょうだいと同居」18.3%に対し、「1人暮らし」は7.7%、「配偶者と同居」は4.3%だった。
 同団体は「障害者の多くが十分な収入を得られず、家族に依存して生活している」と指摘。障害者の収入保障制度や、障害者を雇用した企業への公的支援の充実などを求めている。(毎日新聞)

この「99%」が表わすもの、ほとんどの障害者が収入を得られない現実です。
収入を得られないというよりも、自立生活を営むのが非常に厳しいものであることを表しています。

東京都の最低賃金は850円。
仮に最低賃金で契約、週5日8時間労働とした場合、1か月の収入は約13万円。ボーナスなしと考えた場合の年収は約156万円。今の障害基礎年金(2級)が約78万円なので、それを合わせると約234万円。

上記の試算はあくまで「一般就労」と仮定しての計算。
また障害基礎年金も満額を受給できると仮定しての計算。これらの「仮定」の計算であっても、障害を持つ人が働き、なおかつ年金をもらっているとしても、年間で234万円しかもらえないんです。「ワーキングプア」というよりも、貧困です。まぁ私の生活も年収300万円に行かないので、私も貧困層なんですけどね。

障害を持った子が特別支援学校の高等部を卒業するとき、考えられる進路は大きく分けて3つ。
1つは一般就労。この中には特例子会社も含まれており、労働基準法で定められた要件で働く人。なので当然ながら最低賃金が適用されますし、能力次第で最低賃金以上の給与をもらうこともできます。

2つ目は福祉的就労。いわゆる「福祉作業所」であったり就労支援事業所で、これらは「福祉施設」なので労働基準法の適用外。福祉的就労をしている人の1か月の平均工賃は、約1万3000円。最低賃金での一般就労で約13万円、もらえる額は、10分の1。もちろんあくまで平均であるため、努力している事業所によってははるかに多く支給できる事業所がある一方、まったく平均工賃に及ばない作業所があるのも事実。

そして3つ目はこれらのどちらにも当たらないもの。「生活介護」、あるいは「生活介護」と「施設入所支援」をセットにしたパターン。これらは就労ではありません。シビアな言い方をすれば、福祉的就労も困難な人が該当します。

これら1・2・3のうち、2と3で「99%」に相当するものと思います。
つまり一般就労ができる障害者というのは障害者全体の「1%」と言い換えることができるのかもしれません。もちろん障害は先天性のものと後天的なものがあるので一概に断言することはできませんが、仮にすべての障害者が先天的なものであったと仮定すれば、「1%」という数字はかなり現実味のある数字ではないかと思います。

実際は中途障害の方もいますので、そのような人はそのまま元の職場に復帰できる可能性もありますので十把一絡げにすることはできません。ただ今回の調査の数字が意味するものは、非常に重大な問題であると思います。障害を持った人が働くというのは、健常者が仕事を見つけて働くこと以上に厳しい現実を突きつけられいるのではないかと思います。

2012.10.22

障害者虐待防止法

先日虐待の対応をしたことを書きました。
その時は細かいことの話は省いてしまいました。今日はちょうどいい機会かもしれないので、もう少し障害者虐待防止法のことについて触れたいと思います。

と言ってもあんまり使えそうなものも見つからなかったので、自分の作ったパンフレットの内容で説明したいと思います。(自分の作ったパンフレットを元に市のパンフレットになっているので、わかっても「ナイショ」でお願いします・・・)


★障害者虐待防止法とは
 平成24年10月1日より「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)が施行されました。この法律は障害者の尊厳を守るため、すべての障害者(身体障害・知的障害・精神障害)に対して、あらゆる虐待が禁止されます。
 この「障害者」の中には障害者手帳を取得していない障害者や発達障害、障害児も含まれます。

 障害者虐待防止法では、障害者に対する虐待として
  ・養護者による虐待
  ・障害者福祉施設従事者による虐待
  ・使用者(雇用主など)による虐待
 と(第2条)規定しています。また「何人も、障害者を虐待してはならない」(第3条)としています。

★虐待の種類
 ここでいう「虐待」は、次の5つを指します。

 1.身体的虐待・・・身体に暴行を加えること。または正当な理由がなく身体の拘束をすること。
 2.性的虐待・・・わいせつな行為をすること。または、わいせつな行為をさせること。
 3.心理的虐待・・・暴言または拒絶的な対応、その他心理的外傷を与える言動を行うこと。
 4.ネグレクト(放棄・放任)・・・衰弱させるような減食、または長時間の放置、1から3に掲げる虐待行為の放置など、養護を怠ること。
 5.経済的虐待・・・財産を不当に処分すること。その他不当に財産上の利益を得ること。

 これらはすべて「虐待」にあたり、法律で禁止されています。
 例えばこんなこと、記憶にないでしょうか?

  ・爪や髪が伸び放題。
  ・医療の必要に基づかない投薬によって動きを抑制する。
  ・管理の都合で睡眠薬などを服用させる。
  ・「バカ」「あほ」など障害者を侮辱する言葉を浴びせる。
  ・仲間に入れない、子ども扱いする。
  ・一人だけ特別な服や帽子をつけさせるなど、人格をおとしめるような扱いをする。
  ・必要な福祉サービスを受けさせない・制限する。
  ・本人の同意なしに財産や預貯金を勝手に処分する・運用する・施設等へ寄付する。
  ・本人の同意なしに年金等を管理して渡さない。
  ・日常生活に必要な金銭を渡さない・使わせない。
  ・急におびえたり、怖がったりする。
   (「障害者虐待防止マニュアル」(NPO法人PandA-Jより))

 これらのこと、はすべて「虐待」です。


★虐待はどこでも起きる可能性があります
 虐待が行われる場所は家庭の中だけでなく、施設や職場、学校に病院など、障害を持った方が関わることのある場所すべてで起こる可能性があります。そのため障害者虐待防止法では養護者のほか、障害を持った方が利用される障害者福祉施設従事者、障害者を雇用する事業所の事業主などに対して、虐待の防止が強く求められています。

★もし、虐待を発見したら
 虐待の事実を発見した時・知った時は、市区町村に連絡することが法律で義務付けられています。
 連絡された人のプライバシーは守られますので、ためらうことなく連絡をお願いします。なお18歳以下の障害児の場合は、管轄する児童相談所に連絡をお願いします。
 ただし、危険性・緊急性を要する場合は、迷わず110番通報をお願いします!

2012.10.04

切迫しないとダメなのか?

他の市では虐待通報が・・・なんて言っていました。
しかし思わぬ形で、自分が最初のケースを取ることになりました。

利用者さんがセンターに来るや否や、ケース担当の職員に泣きつくことに。
担当の職員が事情を聞くと、その状況を家庭に連絡。内容を聞いて「これは対応事例になるだろう」と判断。ただ「ケース担当」としての対応もあるので、自分は聞き取りの準備をすることに。

そして1時間後、虐待ケースとして聞き取りを実施。
聞き取りの内容から「虐待通報」として受理し、市役所へ連絡。連絡と同時に、保護の場所も依頼。

しかし市役所の答えは、No。
「本当に緊急性があるなら、警察の対応だね」とのこと。たしかに今の時点では自宅から離れているから緊急度は高くない。しかしこのまま自宅に戻したら間違えなくリスクが増大することはあきらかなこと。その点から保護をする場所を再度依頼。

すると今度は「処遇はコア会議で決めるもので、今の時点では決められない」とのこと。
イヤ・・・そんなことはわかっています。だけどすぐにコア会議が開けて対応を決められるのであればともかく、そういう状態じゃなければ、まずは身の安全を確保することが第一のはず。そのために「居宅の確保」があるはず。自分の中ではそのように認識をしていたけど、どうやらその認識は違うらしい。

ホント、イラッっとしました。
そんなに行政権は弱いものなのか、と。司法権の介入がなくとも、必要であれば行政権で対応することもできるはず。でもその行政権を行使しないって・・・何のための虐待対応なのか。もちろん虐待の中には今すぐ切迫している状態ではないものもあると思うし、そこまでの緊急性がないものもある。そういうものはじっくりと対処すればよいかもしれないけど、身の安全を確保する必要があるのに行政権を行使しないのは、そんなにダメなことなのか。映画じゃないけど、現実は今そこで起こっているのであって、法律の中ではない。柔軟に対応するのではなかったのか。

まぁ結果的にはコア会議は開かずに、関係者会議で当面の対応をすることに。
今後の流れとしては虐待ケースとして動くけど・・・ホント、何のための事前準備だったのか。今月にも虐待対応の打ち合わせがあるけど、今回ばかりは自分も主張をしようと思います。

2012.10.02

他では通報が

Yahooニュース「<障害者施設>「理事長が入所者虐待」元職員が通報…千葉」

 千葉県南房総市白浜町の精神障害者施設の女性入所者(50)が、施設を運営する社会福祉法人の理事長(70)から虐待を受けていると元職員が1日、同市障害者虐待防止センターに通報した。同日から施行された障害者虐待防止法に基づく通報で、入所者は千葉県警館山署にも既に被害届を提出している。同市から連絡を受けた県は、近く施設の立ち入り調査をする。

【虐待の発見者に通報を義務づけ】障害者虐待:通報義務、10月1日に防止法施行
 市や施設関係者によると、9月初め、女性入所者の腕などに殴られたようなあざがあるのを職員が発見。市内の病院で、両腕や右足などに打撲が確認され、全治約10日と診断された。病院は「虐待の疑いがある」としてそのまま女性を入院させた。
 理事長側は施設に戻るよう説得を試みたが、病院側は面会を認めていない。
 元職員は「施設内で虐待を受けているのは彼女だけではない。入所者の多くが生活保護受給者で、逃げ出すことができない。障害者の弱みにつけ込んだ行為で許せない」と訴えている。
 同法人は東京都や栃木県などで複数の障害者施設などを運営。同ホームは昨年3月に開設され、現在約10人の入所者が暮らす。

 ◇受けた暴力をメモに残す
 一般に障害者への虐待事件は、障害者の証言の信用性が問題となるケースが少なくないが、虐待を受け、現在は入院中の女性が残した暴力行為を記録したメモを毎日新聞は入手した。
 心配した周囲の勧めで入所者が手帳サイズのメモ用紙に、理事長から受けた計6回の暴行の内容を鉛筆で書き込んでいた。

「顔たたかれた」 「8月12日午前11時30分 顔・おなかをたたかれ、けられました」「8月14日午後19時30分 カラオケ屋で顔に水をかけられ、顔をたたかれました。午後22時 まごの手で顔と右耳をたたかれました」「8月20日午後22時 ひじでわきばらを、ぶたれました」などと記載されていた。

 施設関係者は他の入所者を含め理事長の暴力は日常的だったと証言。昨年3月の開所以来1年半で、この施設の全職員5人中、延べ7人が退職しているという。
 理事長は「虐待は全くの事実無根。私が本人に会って話せば施設に戻ると思う」と話している。(毎日新聞、一部改編)

幸いにも自分のところには今日も通報は入りませんでした。
しかし他の自治体では昨日の法施行にあわせて通報されたケースが出たみたいです。

障害者虐待防止法については、日を改めて書こうと思います。
今回の通報者は元職員。まさに法律を知っての行動でしょう。「元職員」とのことなので今は関わっていないと思いますが、いわゆる「内部通報」に近い形です。今回は事実が認められれば身体的虐待で、県の監査が入ることになるでしょう。

まだまだこれは氷山の一角・・・とは言いたくありません。
でも実際のところは他にもあると思います。日を追うにつれ障害者虐待の報道が増えることを、正直懸念しております。

2012.09.28

何を基に判断するか

Yahooニュース「<生活保護>就労努力に加算…意欲低い人審査厳格 厚労省案」

 厚生労働省は28日、生活保護制度の見直しを柱とする「生活支援戦略」の素案を厚労相の諮問機関、社会保障審議会の特別部会に示した。積極的に就職活動をしている人には保護費を加算するなど「働ける人」に自立を促す一方、働く意欲が低く保護を打ち切られた人には3回目の申請から審査を厳格化するなど、就労促進によって保護費を抑える姿勢を鮮明にしている。厚労省は素案を基に同部会で議論し、年内に最終案をまとめる。

 生活保護受給者数は6月時点で過去最高の211万人に、12年度予算の保護費は3.7兆円に達した。08年秋のリーマン・ショック以降は「働ける人」の受給増が指摘されているため、素案にはこうした層の自立促進策を並べた。面接を受けた回数など就職活動への「努力」を評価して保護費に上乗せする制度をつくるほか、収入があれば保護費が減額される今の仕組みを和らげる。受給者が手元に残せる金額を増やし、働いた「見返り」を厚くするためだ。また賃金の一定額を「積立金」とみなして記録し、生活保護を抜けた後に支給する「就労収入積立制度」を創設する。
 一方、「働けるのに働かない」人には厳しく対応する。現在でも就職活動をしない受給者は保護を打ち切っているが、自治体からは「再申請を断れず、効果がない」と指摘されている。このため2回打ち切られた後の3回目の申請では就労意欲を厳格に確認する。
 保護費の半分を占める医療扶助(医療費)については「不必要な受診」を減らすため、長期受給者に他の医療機関での検診を求める。不正受給が発覚すれば、一定額を上乗せして返還を求める仕組みを導入する。扶養を断る親族に説明責任を課す規定もつくる。
 保護を受ける前段階の支援も充実する。生活困窮者向けの拠点「相談支援センター」の設置や、生活保護世帯の子どもが低学歴化し、成人して受給者となる「貧困の連鎖」防止策として、学習を支援する方針も盛り込んだ。(毎日新聞)

生活保護制度の議論、おそらくまだまだ続くでしょう。
一度保護を受け始めたら行け出せない理由に、就労の問題があることは事実です。ですが「働けるのに働けない」というのを誰がどのように判断するのかは、大きな課題になるでしょう。また「3回目からは厳格に」という基準もどこから出ているのか。本来、生活保護の開始には慎重な調査をしたうえでの判断が求められるけど、普通は一度保護を打ち切られて再度保護を受けるのであれば、その背景をもっと慎重に調べるべきであり、「再申請を断れない」というのはある種の怠慢です。なぜ保護を打ち切られたのか、打ち切られた後の生活など、2回目の申請から厳格に調査するのが本来であります。今更「3回目からは・・・」なんて言っているのは、怠慢以外の何物でもありません。

あと生活保護に携わる現業員、いわゆるケースワーカーの質に関することは一切触れられていない。どんなに良い制度を作っても、それを実際に動かす現場の質が担保されていなければ本質は変わらないのではないかと思います。未だに福祉行政に就く公務員の資格は「社会福祉主事」で通しているけど、今の時代「社会福祉主事」なんて誰でも取れるものであり、任用資格で通していること自体も時代遅れ。社会福祉士・精神保健福祉士などの専門資格が整備されている中で、未だに社会福祉主事のみで通しているこの時代が生活保護行政の怠慢に拍車をかけているのではないと思います。今回の厚労省案の中に現場職員に対する記述は見られない状態。この部分ももっと踏み込むべきであります。

そして不正受給、厳罰化は当然です。
が、タレントの家族が生活保護を受けていたことに端を発したこの問題、個人的見解として今でも「不正受給ではない」と考えています。なぜなら当時は実際に保護の要件に合致していたからです。なぜ有名になってからも続いたのか・・・これは行政の怠慢です。もっと行政がちゃんと調べてさえいれば、こんな問題は起きなかったのです。道義的な部分では議論の余地はありますが、元をたどれば責任は行政。自分たちの怠慢を棚に上げて受給者やその家族に責任を求めるのは筋違いではないか、と思います。

結局、行政の怠慢がすべての原因なんです。
もちろん被保護者のために汗を流して頑張っているケースワーカーがいることも知っています。自分も関わりを持っているケースワーカーさんもいますし、ちゃんと会議にも出てきてしっかりと動いている人がいることも十分承知です。現場が頑張ってもどうにもならないのは、やはり「お役所」が実態を理解していないんですよね。厚労省の打ち出した「生活支援戦略」、ぜひとも形にして、さらにケースワーカーに関しても見直しをして頂きたいです。

2012.05.26

問題の本質

当然ながら世間にはいろんな意見があります。どうやら自分の意見は少数派の意見のようです。あんまりこのことばかり挙げてもきりがないので、もう1日ここで話して閉めたいと思います。

今回の件、一家族が問題であるかのように挙げられています。
であるなら、この家族だけではなく「疑いのある」家族は全部つるし上げるくらいでないと解決はありません。「もらい得がない」ということを言いたいのであれば、駐車禁止を一斉に取り締まるように不正受給を一斉に取り締まる必要があるでしょう。いわゆる「囲い屋」として問題になっているものも同様に挙げなければならないでしょう。

でも今回の問題の本質はどこにあるのでしょうか。
「もらい得がない」ということを挙げたいのであれば、自分の力で問題を引き出すべきなのではないかと思います。結局のところ、週刊誌のおこぼれから芸能人の家族をターゲットにつるし上げただけであって、こんなことは議員の功績でもありません。「良くやった」と褒めている人もいますが。私は違うと思いますね。自分の足を使って調べあげて「これだけの不正受給があるんです」と言ったのなら話は別です。今回はおこぼれを拾っただけで、拾った人が単なる「ラッキーボーイ」になっただけのことなんですよね。

それと、今回は別に不正受給でもなんでもありません。
たしかに道義的な責任は免れないと思いますが、そもそものきっかけ自体は何の問題もないのであって、昨日も書いた通りに福祉事務所がちゃんと実態把握をしなかったために長きにわたって支給が続いただけの話なんですよね。もちろん家族も「子どもが稼ぐようになったから」と一言言えばここまで大きくならないで済んだのだと思うのですが、積極的に自分の状況を判断できる人っていますかね。もっとも、月7万円でどんな生活ができるんでしょうかね。(あ、これは芸能人の実家の所在地を元に計算。もちろん具体的場所はわからないので、おおざっぱな算出)もちろん、お金の多い少ないが問題でないことは言うまでもありませんが。

不正受給は虚偽の申告をして不正に利益を得る行為であって、法に触れていないことは当然です。
繰り返しますが、「法律論」と「道徳論」を別に切り離して考えています。ですから道義的なことに関しての話はまた別の次元の話です。ここでの問題の本質は「適切な生活保護の受給」であって、一家族を見せしめにするための話ではありません。あまりにも報道もその話に重きが置かれており、本来の「生活保護の現状」ということを論じているメディアは少ないです。誰がいくらもらったという話より、大局的立場に立って論じていただきたいものです。

2012.05.25

行政の怠慢

今更ながらニュースのソースを挙げる必要もないので、出しません。
生活保護の問題はいろんなところで波及している様子です。

しかしながら、本人や家族を責めるのはいかがなものか・・・と思います。
別に擁護するつもりはありませんが、少なくとも不正受給ではないと考えます。「保護費を返す」と言っていますが、あくまでこれは道義的な話。法的にも「返還の義務」は書かれていますが、今回の場合は行政の怠慢であると思います。しっかりと資力調査・扶養の調査を行っていれば今回のような問題はもっと早く防げたはずであり、それを怠った行政を点検すべきではないか、と思います。受給者を責めるのはこの段階では尚早ではないかと思います。

誰しも生活保護を貰っていることを堂々と言いたい人なんて、いませんよ。
できることなら伏せておきたい、でも現実に問題があるならもっと別の方法もあったんじゃないのかと思えてなりません。単純に芸能人の親族だからという理由だけで国会追求されることは、本来あってはならないことだと思います。これじゃ個人の生活を国が監視している、どっかの社会主義・独裁国家と同じではないか。生活保護の実施は市区町村に委ねられているのであり、順序を経ることなく「つるし上げ」をするのは、ちょっと筋違いであると思います。

もちろんこれだけの話になっていますから、それなりの落としどころもあるでしょう。
でもマスコミがつるし上げただけでは、この問題は終わりません。どうすれば適切な支給を行えるのか、法律に定められたことをきちんと行っていくか、問題はそこになると思います。すべての自治体とは言いませんが、中には生活保護の要否を決める自治体職員の資質というのも問題ではないかと思います。保護を受けるために一時保護所に行かないと保護しない、という自治体があれば、強制的に居住地を設定し納得できないのであれば保護を打ち切る、なんて言うところもあります。一時期の「北九州方式」も大きな問題になりましたが、大した福祉のことを勉強せずに、公務員の人事異動で生活援護に回されたからその職務を形式的に行っている、では何の専門性もないと思います。お役所何処の業務も同じだと思いますが、福祉分野の仕事は誰でも簡単にできるような仕事ではないと思います。上から流れてきた省令や通知を実直に行っているだけでは、本当の意味での自立支援は程遠いのではないかと思います。だからこそ「社会福祉主事」というものがあるわけで、一時期大量に福祉に携わる職員を確保するために作った「3科目主事」というのは、現在の流れから見れば時代遅れなわけであり、それを今も適用してやっていること自体もお粗末ではないのか、と個人的には思います。

水準の見直しも必要でしょうが、まずは「枠」を固めてください。
どんなにいい法律を作っても、それを運用する人材が悪ければ意味はありません。何のために「福祉士」を作ったのか、そこもお忘れなく見直しをして頂きたいものです。

2012.05.07

まだこんな考えがいるのか

今日は仕事が休みなので書く予定はなかったけど、気になる記事があったので。

Yahooニュース「<大阪維新の会>家庭教育支援条例案を白紙撤回 抗議受け」

 橋下徹・大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」の市議団は7日、議員提案を予定していた「家庭教育支援条例案」を白紙撤回することを決めた。条例案は「発達障害は愛情不足が原因」などと指摘する内容で、保護者らの抗議が殺到していた。市議団は同日、発達障害の子どもを持つ保護者団体のメンバー約10人と面会し、謝罪した。
 条例案は、行政による家庭教育の支援などが目的で、維新市議団が1日に公表した。発達障害について「乳幼児期の愛着形成の不足」が要因と指摘し、虐待や引きこもり、不登校などと関連付けた上、「伝統的子育て」によって障害が予防できると言及していた。
 この日、発達障害の子どもを持つ「大阪自閉症協会」など13団体の代表らが市議団を訪問し、「発達障害に対する偏見を増幅しかねない」「条例案を中止していただきたい」と抗議。市議団の美延映夫(みのべ・てるお)幹事長は「ご心労をおかけした。ぜひ一緒に勉強会をさせていただきたい」と陳謝したが、条文については「ある県で議論された案を参考として議員に配っただけで、我々の案ではない」などと釈明した。
 市議団との面会後に市役所で記者会見した「全国LD(学習障害)親の会」の内藤孝子理事長は「なぜ議会からこんなものが出てくるのか理解できない」とあきれた。高槻市障害児者団体連絡協議会の堀切公代事務局次長も「私たちが望んでいるのは障害のある子を支える社会資源やシステムの充実。親を責めたり追い詰める発想はやめてほしい」と訴えた。(毎日新聞)

いや、本当に「アホらしい」です。まだこんな考えを信じているなんて。
自閉症などの発達障害が脳機能の障害の一部であって、親の養育とは関係しないことはずいぶん前から明らかになっていることです。「我々の案ではない」と釈明していますが、それをそのまま鵜呑みにして条例案にしたことは、あまりにも勉強不足であります。自分なんかはこの世界にいるのですぐに間違っていることはわかりますが、そんなに理解ないものなのでしょうか。条例案の一部には・・・

 乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる

 わが国の伝統的子育てによって(発達障害は)予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する

と、耳を疑うような文言も。平成16年には発達障害者支援法が成立しており、勉強不足というにはあまりにもお粗末すぎます。「伝統的子育てによって(発達障害は)予防、防止できる」のであれば、ぜひその方法を教えていただきたい。(もちろん、皮肉を込めての発言です。)

こんなことが大きくなってから「白紙撤回します」なんて、遅いんです。
結局何も考えていないし、ちゃんと精査せずに動きだけが先に進みすぎるから、こういうことになるんです。イヤ、ホントに情けないの一言です。

2012.03.28

厚生労働省の「やる気」

Yahooニュース「外国人介護福祉士、合格率37・9% 全体は63・9%」

 厚生労働省は28日、経済連携協定(EPA)に基づき受け入れたインドネシア人とフィリピン人の介護福祉士候補者95人が介護福祉士国家試験を初めて受験し、36人が合格したと発表した。外国人候補者の合格率37・9%に対し、全体の合格率は63・9%だが、厚生労働省は「全体に比べると低いが、当初支援が充実していない中、予想以上の合格率だった」と話している。
 26日に発表された看護師国家試験では全体の合格率90・1%に対し、EPAの外国人候補者の合格率は11・3%だった。
 厚生労働省によると、介護福祉士の国家試験に合格したのは平成20年度に来日したインドネシア人35人と21年度に来日したフィリピン人1人。介護福祉士試験は実務経験3年が必要だが、候補者の在留期間は4年のため、チャンスは実質一度きりになる。政府は20~21年度入国者を対象に、不合格でも試験の得点など一定条件を満たせば1年間の滞在延長を認めている。(産経新聞)

これで3福祉士すべての合格発表が終わりました。
そういえばインドネシアとフィリピンからの看護師・介護士をEPAで呼んで日本の看護師・介護福祉士取得を目指す、なんて報道も4年前にありましたね。今年はその4年目だったんですね。

既に色々なところでコメントが出ているので、ありきたりのことはお任せします。
ただ、報道を見る限りではいかに厚生労働省が「やる気」を見せるのか、という部分になるのかなぁと思います。助成金を出すとはいえ、1人当たりの年額は約25万円。受け入れ側としては助成金以上のお金(日本に定住するために必要な雇用、教育などの費用)を用意しなければならず、その負担は大きいもの。「安い労働力で・・・」なんて考えていたのかもしれませんが、日本人が敬遠する仕事を他の国の人に任せるのはあまりにも単純な発想であり、その部分でも厚労省の「やる気のなさ」というものを感じさせますよね。

誤解を防ぐために・・・EPAが悪い、ということではありません。
志高い人材が日本で働きたいという夢を持ち、それを実現することはあってしかるべきだと思います。しかしその労働力を補うために日本の現実を見ずにいる今の体制に、大きな問題があるものと思います。なぜ介護人口が少ないのか、介護の担い手が少ないのか、もっと言えば福祉に従事する人が少ないのか、その本質的な問題をしっかりと捉える必要があります。一番手っ取り早いのは「待遇」であり、必要不可欠な仕事であるにもかかわらずなぜ低待遇なのかを分析し、それを改善する姿勢が求められます。EPAを進めるのはおおいに構いませんが、この問題をどう解決していくのか、それは厚労省の「やる気」がどれだけあるのか、でもあるように思います。

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