99%が表わすもの
先日この記事を書こうと思ったのですが、自分のミスで書いた内容を消してしまいました。なので、改めて取り上げなおします。
Yahooニュース「<就労障害者>公的支援含めても年収200万円以下99%」
福祉作業所など就労支援を中心とした福祉サービスを利用している障害者の約99%が、障害手当などの公的支援を含めても年収200万円以下の「ワーキングプア」と呼ばれる生活水準にとどまっていることが、全国の障害者福祉施設でつくる団体「きょうされん」(東京都)の全国調査で分かった。なかでも年収100万円以下が半数以上を占める状況で、障害者の自立を取り巻く厳しい環境がデータで裏付けられた形だ。
同団体は11年11月~12年2月、加盟施設などを通じ、身体、知的、精神などの障害者で、通所施設などで働く本人やその家族らにアンケート。約1万人(平均40.4歳)の回答を得て、同10月、報告書をまとめた。
報告書によると、障害年金や生活保護、障害手当、給与、工賃などを合わせた月収は「4万2000円以上8万3000円未満」が最多の41.1%。続いて「8万3000円以上10万5000円未満」が28.5%だった。年収では「100万円以下」が56.1%、「200万円以下」は98.9%に上った。
国税庁の民間給与実態統計調査(10年)によると、「200万円以下」は22.9%で、障害者の収入が低水準である実態が明らかになった。
また、生活状況(複数回答)では、「親と同居」56.7%、「きょうだいと同居」18.3%に対し、「1人暮らし」は7.7%、「配偶者と同居」は4.3%だった。
同団体は「障害者の多くが十分な収入を得られず、家族に依存して生活している」と指摘。障害者の収入保障制度や、障害者を雇用した企業への公的支援の充実などを求めている。(毎日新聞)
この「99%」が表わすもの、ほとんどの障害者が収入を得られない現実です。
収入を得られないというよりも、自立生活を営むのが非常に厳しいものであることを表しています。
東京都の最低賃金は850円。
仮に最低賃金で契約、週5日8時間労働とした場合、1か月の収入は約13万円。ボーナスなしと考えた場合の年収は約156万円。今の障害基礎年金(2級)が約78万円なので、それを合わせると約234万円。
上記の試算はあくまで「一般就労」と仮定しての計算。
また障害基礎年金も満額を受給できると仮定しての計算。これらの「仮定」の計算であっても、障害を持つ人が働き、なおかつ年金をもらっているとしても、年間で234万円しかもらえないんです。「ワーキングプア」というよりも、貧困です。まぁ私の生活も年収300万円に行かないので、私も貧困層なんですけどね。
障害を持った子が特別支援学校の高等部を卒業するとき、考えられる進路は大きく分けて3つ。
1つは一般就労。この中には特例子会社も含まれており、労働基準法で定められた要件で働く人。なので当然ながら最低賃金が適用されますし、能力次第で最低賃金以上の給与をもらうこともできます。
2つ目は福祉的就労。いわゆる「福祉作業所」であったり就労支援事業所で、これらは「福祉施設」なので労働基準法の適用外。福祉的就労をしている人の1か月の平均工賃は、約1万3000円。最低賃金での一般就労で約13万円、もらえる額は、10分の1。もちろんあくまで平均であるため、努力している事業所によってははるかに多く支給できる事業所がある一方、まったく平均工賃に及ばない作業所があるのも事実。
そして3つ目はこれらのどちらにも当たらないもの。「生活介護」、あるいは「生活介護」と「施設入所支援」をセットにしたパターン。これらは就労ではありません。シビアな言い方をすれば、福祉的就労も困難な人が該当します。
これら1・2・3のうち、2と3で「99%」に相当するものと思います。
つまり一般就労ができる障害者というのは障害者全体の「1%」と言い換えることができるのかもしれません。もちろん障害は先天性のものと後天的なものがあるので一概に断言することはできませんが、仮にすべての障害者が先天的なものであったと仮定すれば、「1%」という数字はかなり現実味のある数字ではないかと思います。
実際は中途障害の方もいますので、そのような人はそのまま元の職場に復帰できる可能性もありますので十把一絡げにすることはできません。ただ今回の調査の数字が意味するものは、非常に重大な問題であると思います。障害を持った人が働くというのは、健常者が仕事を見つけて働くこと以上に厳しい現実を突きつけられいるのではないかと思います。
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