何を基に判断するか
Yahooニュース「<生活保護>就労努力に加算…意欲低い人審査厳格 厚労省案」
厚生労働省は28日、生活保護制度の見直しを柱とする「生活支援戦略」の素案を厚労相の諮問機関、社会保障審議会の特別部会に示した。積極的に就職活動をしている人には保護費を加算するなど「働ける人」に自立を促す一方、働く意欲が低く保護を打ち切られた人には3回目の申請から審査を厳格化するなど、就労促進によって保護費を抑える姿勢を鮮明にしている。厚労省は素案を基に同部会で議論し、年内に最終案をまとめる。生活保護受給者数は6月時点で過去最高の211万人に、12年度予算の保護費は3.7兆円に達した。08年秋のリーマン・ショック以降は「働ける人」の受給増が指摘されているため、素案にはこうした層の自立促進策を並べた。面接を受けた回数など就職活動への「努力」を評価して保護費に上乗せする制度をつくるほか、収入があれば保護費が減額される今の仕組みを和らげる。受給者が手元に残せる金額を増やし、働いた「見返り」を厚くするためだ。また賃金の一定額を「積立金」とみなして記録し、生活保護を抜けた後に支給する「就労収入積立制度」を創設する。
一方、「働けるのに働かない」人には厳しく対応する。現在でも就職活動をしない受給者は保護を打ち切っているが、自治体からは「再申請を断れず、効果がない」と指摘されている。このため2回打ち切られた後の3回目の申請では就労意欲を厳格に確認する。
保護費の半分を占める医療扶助(医療費)については「不必要な受診」を減らすため、長期受給者に他の医療機関での検診を求める。不正受給が発覚すれば、一定額を上乗せして返還を求める仕組みを導入する。扶養を断る親族に説明責任を課す規定もつくる。
保護を受ける前段階の支援も充実する。生活困窮者向けの拠点「相談支援センター」の設置や、生活保護世帯の子どもが低学歴化し、成人して受給者となる「貧困の連鎖」防止策として、学習を支援する方針も盛り込んだ。(毎日新聞)
生活保護制度の議論、おそらくまだまだ続くでしょう。
一度保護を受け始めたら行け出せない理由に、就労の問題があることは事実です。ですが「働けるのに働けない」というのを誰がどのように判断するのかは、大きな課題になるでしょう。また「3回目からは厳格に」という基準もどこから出ているのか。本来、生活保護の開始には慎重な調査をしたうえでの判断が求められるけど、普通は一度保護を打ち切られて再度保護を受けるのであれば、その背景をもっと慎重に調べるべきであり、「再申請を断れない」というのはある種の怠慢です。なぜ保護を打ち切られたのか、打ち切られた後の生活など、2回目の申請から厳格に調査するのが本来であります。今更「3回目からは・・・」なんて言っているのは、怠慢以外の何物でもありません。
あと生活保護に携わる現業員、いわゆるケースワーカーの質に関することは一切触れられていない。どんなに良い制度を作っても、それを実際に動かす現場の質が担保されていなければ本質は変わらないのではないかと思います。未だに福祉行政に就く公務員の資格は「社会福祉主事」で通しているけど、今の時代「社会福祉主事」なんて誰でも取れるものであり、任用資格で通していること自体も時代遅れ。社会福祉士・精神保健福祉士などの専門資格が整備されている中で、未だに社会福祉主事のみで通しているこの時代が生活保護行政の怠慢に拍車をかけているのではないと思います。今回の厚労省案の中に現場職員に対する記述は見られない状態。この部分ももっと踏み込むべきであります。
そして不正受給、厳罰化は当然です。
が、タレントの家族が生活保護を受けていたことに端を発したこの問題、個人的見解として今でも「不正受給ではない」と考えています。なぜなら当時は実際に保護の要件に合致していたからです。なぜ有名になってからも続いたのか・・・これは行政の怠慢です。もっと行政がちゃんと調べてさえいれば、こんな問題は起きなかったのです。道義的な部分では議論の余地はありますが、元をたどれば責任は行政。自分たちの怠慢を棚に上げて受給者やその家族に責任を求めるのは筋違いではないか、と思います。
結局、行政の怠慢がすべての原因なんです。
もちろん被保護者のために汗を流して頑張っているケースワーカーがいることも知っています。自分も関わりを持っているケースワーカーさんもいますし、ちゃんと会議にも出てきてしっかりと動いている人がいることも十分承知です。現場が頑張ってもどうにもならないのは、やはり「お役所」が実態を理解していないんですよね。厚労省の打ち出した「生活支援戦略」、ぜひとも形にして、さらにケースワーカーに関しても見直しをして頂きたいです。
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昨日は人類の、いや
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将来への不安をかきたてる
ことは嫌というほどあり
ますが、その一つがこれ。
右のグラフ。
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