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思ひ出アルバム

  • 卒業式が終わって・・・
    以前HPで行っていた「todya's photo」の写真や「御岳写真館」で使用していた写真を再び復活させるべく、「思ひ出アルバム」として随時更新していきたいと思います。また最近の写真でも「思ひ出」となるものについては、ここに納められていくことになるでしょう。

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2009.05.30

専門職員の積極的採用・配置を

昨日のココログを書いた後に、生活保護関係のニュースがありました。
今日のを含め、2本ほど紹介したいと思います。

<処分取り消し>車所有の難病夫婦、北九州市が生活保護停止 訴訟で市が敗訴(毎日新聞)

 車の所有を理由に生活保護を停止したのは違法として北九州市の体に障害のある夫婦が同市に停止処分取り消しや慰謝料を求めた訴訟の判決が29日、福岡地裁であった。増田隆久裁判長は「処分は違法」として停止処分を取り消し、同市に計60万円の賠償を命じた。
 原告側代理人の平田広志弁護士は「社会的弱者ほど車が必要なのに、車所有が原因で生活保護をあきらめるケースも多く、画期的判決だ」と話している。
 訴えていたのは同市門司区の無職、Aさん夫婦。
 訴状によると、夫婦で野菜販売業を営んでいたが、妻(77)が全脊椎(せきつい)靱帯(じんたい)骨化症という難病を、Aさんは心臓病などを患い、働けなくなったため、00年11月に生活保護受給を始めた。軽自動車(93年式)を所有していたが、市門司福祉事務所は翌12月以降「生活保護で所有は認められない」と売却するなどして処分するよう指示。しかし、歩行困難な妻の通院などに必要で処分しなかったところ、04年9月~05年4月の約7カ月間、生活保護を停止された。
 夫婦側は(1)正当な理由なく保護を不利益変更したのは生活保護法に違反する(2)車は走行25万キロを超え換価性はない(3)厚労省保護課長通知で規定された「障害者の通院・通学などで車が必要な場合に所有を認める条件」に該当する--などと主張し市と争っていた。(5月29日)

北九州・生活保護停止違法 餓死も覚悟「感無量」 勝訴原告 「市は聞く耳を」(西日本新聞)

 「感無量です。胸がいっぱいで言葉も出ません」。29日、軽乗用車の所有を理由に生活保護を停止した北九州市の処分を違法と断じた福岡地裁判決。勝訴した原告の同市門司区、Aさん夫妻は同日、福岡市中央区で記者会見し、深く喜びをかみしめた。夫妻は一時は餓死さえも覚悟したという。「完全勝利の判決」(弁護団)に安らぎの表情が戻った。
 病気で生活に困窮し、2000年11月から生活保護を受けた。それが停止されたのは04年9月。乗用車を処分するよう求めた市の指示に従わなかったからだ。
 「生活保護の受給者が車を持つなんて言語道断」。福祉事務所の担当者から、ののしり声を浴びせられた。何度も。だが、家にこもりがちだと体の衰えが心配だ。何よりも、車はAさん妻の通院や買い物などで使う「生きる上での命綱」(Aさん)で手放せない。月額約14万円の保護費は受けられなくなった。
 相談していた弁護士たちが月に約8万円をカンパしてくれた。だが、生活は一変。風呂や食事の回数を減らした。山や海で食材を探すこともあった。久子さんは「3度も食事ができなかった戦時中を思い出して暮らした」と振り返る。
 あまりにもつらい日々に、Aさんは生活保護の停止を開き直って受け止めるようにもなっていた。「役所と関係が切れ、気が楽になったというか、餓死しても構わんとさえ思っていた」
 当時の同市の対応について、夫妻は「何が何でも手放せというばかりだった。私たちの言い分を聞く耳を持ってほしかった」と口をそろえた。

■原告側が市に 控訴断念要望
 北九州市の生活保護停止処分を違法とした福岡地裁判決を受け、原告弁護団は29日、同市役所に控訴の断念を求める申し入れ書を提出した。市は幹部を集めて緊急に協議したが、控訴するかどうかの結論は出さなかった。
 弁護団は申し入れ書で「障害を抱える原告にとって自動車の利用は必要不可欠。裁判所の判断は当然の結論」と訴えた。
 これに対し、同市幹部の1人は、移動が困難な身体障害者にはタクシー利用料の補助が支給されることから「この件は(申請を受け付けない)いわゆる『水際作戦』とは違うとの考えで争ってきた。生活保護の停止は、保護費の増加を抑えるのが目的ではない。主張が受け止められなかった」と語った。
 同市の守口昌彦保護課長は、控訴するかどうかについて「判決文をよく読んで、関係機関と協議して対応を検討したい」と話した。(5月30日)

この不景気のためか、生活保護に関するものは即座にニュースにされていますね。
最近の生活保護関係の裁判を見ていると、多くが原告勝訴の判決を出されていることが多くみられるような気がします。今回の判決も一福祉従事者からみて「妥当」だと思います。

むしろ、北九州市は極端な生活保護の申請拒否が社会問題化し、自ら「生活保護行政検証委員会」を立ち上げてパブリックコメントや有識者による委員会を経て答申を出していたにもかっ変わらず、類似したような問題をまだ出しているという考えのほうが自分にはあります。今回の場合は「申請」の問題ではありませんが、個々の状況を踏まえた適切な保護をせず、マニュアル的な指導を繰り返していたものです。

生活保護需給において「車の所持」に関する原則は市が主張している「所有不可」でありますが、例外として「障害を持つ」人に関しては個々の状況に鑑み所有を認めるケースもあります。今回の場合は夫妻が両者とも重度障害者であることと、通院をするには車が日常生活で必要不可欠であることを理由に「車の所持」を主張してきました。客観的に状況を見れば所有を認められるケースでしたが、市は「身体障害者にはタクシー利用料の補助が支給される」という理由で車を手放すことを強く支持してきたみたいです。

しかし市の主張する「タクシー利用料の補助」で生活が成り立つのか・・・ということを考えると、生活保護を受給している人のケースを考えると、かなり難しいと考えられます。ここで考えられるタクシー利用料補助の方法は2つで、1つは障害者に給付される「タクシー券」の利用、もう1つは生活保護の「医療扶助」の一環で行う「通院交通費」としての支給があると思われます。まず「タクシー券」の利用について考えると、タクシー券は用途を限らず日常生活において必要な時に使うことができます。しかしタクシー券の支給に関してはかなりの地域差が見られ、市町村によってその補助する内容も異なってきます。私の市では「基本料金」の補助として最大50枚程度が支給されています。私の市のように「チケット方式」と採っているところがあれば、「金券方式」を採っているところもあります。しかしタクシー券も無限に使えるわけでなく、年間で補助される額が決まっています。さらにこの額は全国均一でなく、市町村が独自に決めており、私の市の場合は約3万円の補助になります。ところによっては2万円であったり4万円であったりしますが、限度があるのが実際です。

そこで2つ目の「医療扶助」としての支給を考えた場合、「通院目的」であればおそらく全額支払うことが可能でしょう。しかし「医療扶助」と名が付いている通り、タクシーの利用は「通院目的」のみが支払われるのであり、日常生活の場合は支給されません。さらにここ最近では「生活保護費の不正受給」の例としてタクシーや航空機を使った通院の交通費が問題となっており、タクシーの利用に関しては今後厳しくみられることが考えられます。このような情勢の中で「通院にタクシーを利用」となったとき、果たして北九州市がそれを認めるのか、という問題があります。今の情勢を利用して「タクシーは認めない」ということも考えられることであり、いずれにしても夫妻の生活に大きな支障をきたすことは予測できるものです。

今回のこの根本的な問題は、いかに福祉行政に関して知識を持つ専門職員が不足していることにあると考えます。
以前に「社会福祉主事」のことを取り上げたことはありますが、福祉事務所(今はほとんどのところが「~福祉課」などといった名称になっています。)で勤務する職員には「社会福祉主事」の資格を有していることが求められます。しかしこの「社会福祉主事」は福祉系の学校・大学を出ていなくても採ることができ、またこの資格は「任用資格」であるため、比較的容易に取得することができます。さらに社会福祉主事を採れる条件に「指定された科目を3科目以上履修」というものがあり、このハードルが社会福祉主事を容易に取得できるものになっていると思います。この「指定された科目」の中には一般教養で習得するような科目も含まれており、その点も問題になっています。(そのため、平成12年に改訂され、現在の大学では福祉に関するものがほとんどになっています。しかし、それでもまだ「一般教養」の域で取得することも可能な状態です。)

そのため、現場において「社会福祉」のことを学んだ職員が少ないのも実態です。
都道府県や政令指定都市においては「福祉職」という枠を用意して採用する自治体もありますが、多くの市町村の場合は「一般職」を募集し、その中から福祉課に配属されるケースがほとんどであり、「福祉職」という枠を設けている自治体は少ないと思います。しかし適正な運営を考えるのであれば、やはり現場に福祉のことを学んできた人員を配置することは必要であると考えます。また民間福祉で経験を積んだ人を自治体の「福祉職」として登用していくことも必要ではないかと思います。どの分野においても「専門性」というのは必要とされることかもしれませんが、福祉の領域の場合、その内容が直接命にかかわる部分でもあり、そのことを考えればやはり専門職員を配置していくことが早急に望まれるのではないか、と感じています。

今日は久しぶりにニュースから福祉ネタを書いてみました。

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