「福祉系ブロガー」として
今回のことは以前「コトバ★福祉施設(続き)」でも取り上げた内容だったのですが、もう一度取り上げたいと思います。
もう一度書こうと思ったきっかけは、わん公さんのblog「わん公のつぶやき」の記事である「障害者福祉に携わる職員として・・・」の内容に関してからです。内容は「どこまで書いていいのか」と言うものでした。
さて、今日は私の今後のブログの方向性について、思い悩んでいる事を綴ってみたいと思います。 それは、随分前から悩んでいた事なのですが、「今、私が携わっている仕事について、どの様にブログで取り上げるか」です。今年の社会福祉士国家試験を受けた方は、私も含め嫌というほど目にしたかと思いますが、去年の4月から「個人情報保護法」という法律が施行されています。これは、国民の個人情報を守る為に制定されたもので、障害者の施設やGHに入居されている利用者さんも、決して例外ではありません。
施設で生活している利用者さんは「そこに住んでいる」という事自体が既に個人情報になるという意識が、皆さんにはありますか!?病院と違い、施設は生活の場なのです。住所と施設名、部屋番号を書いて葉書を出せば、その郵便物は利用者さんに届くようになっています。住民票を移すからですね。
こういう捉え方をすると、私がここで、利用者さんが特定できるようなブログの取り上げ方をするのは、この法律の観点や、社会福祉士及び介護福祉士法に明記されている「秘密保持の原則」からも、逸脱しかねない訳です。
今まで私は、実習に関するネタは「裏実習日誌」として取り上げてきた経緯があります。しかしそれは、私がその実習先に滞在するのが一時的なことや、個人を特定しにくいよう、配慮してきたという努力をすくなからずしていました。しかし、継続的に利用者さんと関わっていく職員という立場では、それにも限界がある気がするんですよね(^^;
福祉関係のブログを見ていると「○○施設のブログ」と明記されているものはともかく、「そこまで書いていいの!?」と思わせる、結構踏み込んだ記事にぶち当たる事もあります。まぁ、私自身も、気付いていないだけで、結構今までの記事でやってしまっているのかも知れませんが・・・(「障害者福祉に携わる職員として・・・」より引用)
正直なところ、私自身も昨年度の「業務報告」に関してはかなり書きにくい、と感じる部分がありました。その原因は、やはりわん公さんも指摘された「個人情報保護法」との兼ね合いです。今までは明確な法律はなく、それぞれの職域における関係法規や倫理綱領(私の場合で言えば「社会福祉士及び介護福祉士法」や「ソーシャルワーカーの倫理綱領」がそれに当たりますが・・・)によって定められていましたが、この法律によって職域など関係なく、すべての国民に対して「保護の対象」としたものができたことによって「どこまで書いていいのか?」と言うことを今まで以上に考えなくてはならなかったのです。
ですので、ウカツに写真などを使うことができなかったのも現実です。前の授産施設にいたときは結構バンバン写真を撮って、委託業務の報告の際に使用する画像とあわせてこのblogでも使っていましたが、この法律が施行されてからは「利用者が特定されるような状況下の写真」は使うことができなくなってしまいました。利用者が映っているのはもってのほか、写真を撮る場所に関しても「不特定多数」の人が見ればどこの施設で働いているかわかるような写真は撮ることができませんでした。ですから「これをblogの題材にしたいなぁ・・・」と思った写真も、泣く泣く諦める場面は何度もありました。七夕の時の写真、クリスマスの時の写真など、「業務」として携わったことを写真と一緒に紹介したい場面は多々あったのですが、やはり法律を前に躊躇することは多かったです。ですから、結果的に昨年度の業務報告で使用した写真は、ほとんどが「当たり障りのない場所」での写真を使う結果になりました。
ただ、これはあくまで私自身のスタンスですが、何でもかんでも「個人情報保護」を盾にされてしまうと、「伝える側」としては何も伝えることができなくなってしまいます。ですから「どこまでを伝えて、どこからをセーブする」と言うのを、自分自身の中で「ガイドライン」を設けて記述することにしています。
そのガイドラインを、私は「カテゴリーわけについて」と言う中で短文ながら明記しています。私の場合は、一応このように明記しています。
★記事の内容に関して
私は「社会福祉士」という身分を持った上で業務を行っています。社会福祉士には「社会福祉士及び介護福祉士法」により、守秘義務が課せられています。社会福祉士及び介護福祉士法第46条(秘密保持義務)
社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。
社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。また私が所属する「日本社会福祉士会」においても倫理綱領が定められており、その中で利用者の秘密保持に関しての規定が定められております。ですので、記事の内容に関しても細心の注意を払って記述をしております。しかしこのblogを設置した最大の目的は「社会福祉士とはどんな仕事をしているのか」と言うことを、「社会福祉士」という立場にいる者として多くの人やこれから福祉の世界を目指す人・社会福祉士を目指す人に伝えていきたいとの思いから、法及び倫理綱領に抵触しない範囲で自らの体験や出来事を伝えています。
また私自身が初めて「障害を持つ」と言うことの難しさや辛さを体験した経験から、そのような人に対しても力を与えられるようなことができれば・・・と思い、毎日継続して、些細なことでも皆さんにお伝えすることができれば・・・と思って書いています。そのため、記述する内容によっては一部脚色をして伝える可能性があることも、あわせてご承知いただきたいと思います。
以前に書いた「コトバ★福祉施設(続き)」でも同じことを述べていますが、あくまで私がこのblogを続ける趣旨は「社会福祉士とは何ぞや?」と言うことを、社会福祉士が働く職場の一端を例に紹介していければ・・・と思って続けています。ですので、自分が「社会福祉士」を名乗る以上、このblogは続けていくつもりです。そして記事を書くスタンスについても、関係法令や倫理綱領を遵守した上で、できる限りのことを伝えていきたいと考えています。
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コメント
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Mitakeさん・・・私のブログを取り上げて頂き、有難うございました。
さて、あの記事を書いてから一週間、自分なりに振り返ってみました。
>ただ、これはあくまで私自身のスタンスですが、何でもかんでも「個人情報保護」を盾にされてしまうと、「伝える側」としては何も伝えることができなくなってしまいます。
・・・この辺の線引きは、本当に難しいと思います。全般的に医療関係施設(病院)の方が「情報管理の徹底」に関しては意識が強い気がします。でも、病院でもピンキリで、面会さえ一筋縄ではいかないような場所もあれば、そうでないところもある。社会福祉法人も、施設によって様々ですね。ただ、施設って「生活の場」だから、病院のように、物々しく色々な事を規制してしまうと、「生活の場」としての雰囲気が損なわれたりしてしまう・・・ただ、「開かれた施設」と「情報管理がずなんな施設」とは別個なので・・・これは、私たち個人に関わらず、多分施設でも独自のガイドラインを策定する際、悩むところではあるんでしょうね。規制するのは簡単ですからね(*_*)
これからも、迷いながらも私の日々の奮闘のさまをつづっていこうと思います。その節は、アドバイス有難うございました。
投稿: わん公 | 2006.04.11 23:35