「訓練」と「指導」
昨日の記事で「デイサービスでは訓練する場所ではない」と言う旨の内容を書いたが、今日はそれにちょっと矛盾する内容。
何度か触れているかもしれないけど、今自分が勤務している施設は「複合施設」で、1つの建物(いわゆる「ハコモノ」)に様々な施設が入っている状態。ちなみに自分が勤務している建物は4階建てで、1階が知的障害者のデイサービス、2階が身体障害者のデイサービス、3階が高齢者のデイサービスと老人福祉センター、4階が会議室・・・と、建物の大部分が「デイサービスセンター」となっている。もちろんデイサービスだから給食を作る厨房もあるし、入浴施設もある。そしてリハビリテーションのための訓練室もある。
で、自分が在籍しているのは「知的障害者デイサービスセンター」の部門。ただし「知的障害者デイサービス」と言っても、すべてがすべて「知的障害」だけか、と言ったら、そうではない。知的障害以外にも身体障害を併せ持つ「重複障害」の利用者もいる。つまり「知的障害」のデイサービスだけではなく「身体障害」のデイサービスを受ける利用者もいる。
その利用者のうちの1人が、今月から「知的障害」だけではなく「身体障害」のデイサービスを利用することになった。先週は最初の利用・・・ということもあって保護者が立会いでのサービス提供だったけど、今回は保護者の立会いはなし。利用者だけ。そして身障デイの時間になり、身障担当の人が迎えに来た。そのとき、利用者はテレビ(ビデオ)を見ていたが、時間が来たので「じゃ、移動の時間だよ」と職員が声かけをしてテレビを切り、移動をさせた。そのときのこと・・・突然、利用者が暴れだし、デイに行くことを拒否した。別にいつもと変わらないのだが、テレビを消されたことが気に入らなかったのか、暴れていた。そしてそのうちに、利用者の裏拳が女性職員の顔面・・・いや、目にクリーンヒット。非常に危ない状態。「これはちょっとマズイ・・・」と思い、身障担当の人と一緒に、一時落ち着けるために更衣室へ移動。密室の空間に隔離して「○○さん、どうしたの?デイ、行きたくないの?」と聞くと「ウン」と頷く。たぶん拒否の要因は「テレビ」にあると思うけど、少し落ち着かなければこっちの言うことも耳に入らない状態。一応説得はする。そしてあわせて「行きたくないのはわかるけど、でもどんなことがあっても絶対に他人に痛いことをしちゃダメだ。」とたしなめると、自分のほうに襲い掛からんとばかりに暴れる状態。「ダメ、それは違う。それはやっちゃダメだ!」と話すが、完全に受け入れられない状態。もはやこの空間で落ち着くことは困難な状態。そこで身障の職員さんと相談して、とりあえずは身障デイの方に行って少し気持ちを落ち着けることに。
イヤイヤ、この利用者、一応「前科あり」の利用者で・・・そう、自分の拳を噛んだ利用者です。
うーん、たしかに重度の障害を持っているからすべてを聞き入れて・・・というのは難しい話だと思うし、キッチリ白黒をつけるのは困難なことだと思います。それができていれば、最初から施設に来る必要はないのですから。ただここに来ている以上は「デイサービス」としてのサービスを最低限提供するのが、自分たちの役割。しかしながら噛まれた時にも話しているように、「やっていいこと」と「やってはいけないこと」の線引きは、最低限しなければならない。とりわけ、コミュニケーションが困難な利用者であっても、その部分は重要である。どんなに重い障害があっても、やってはいけないこと・他者から見て明らかに違うと考えられることは、キッチリと線引きをして「ダメ!」と言うことを示さなければならない。このことは年齢とかは関係ない。できていなければ、正すところは正していかなくてはならない。まだ彼は若いのだから、今から修正をしていけば必ず「正しい方向」に結び付けられる利用者であることは間違えない。もちろんその過程には時間がかかるかもしれないけど、それでも「やってはいけないこと」は「指導」していかなくてはならない。「利用者である」とか「支援・援助」とかと言うのとは別次元の問題である。社会で生活をしていく以上、それが重要な問題になりうる事柄であれば、それは「支援」ではなく「指導」なのだと思う。
あ、そうそう・・・一度同じようなことを書きましたね。「支援と指導」と言うタイトルで。
今回は「訓練」と「指導」として、また改めて書かせてもらいました。
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