コトバ★「授産施設その3」
本日のコトバは「授産施設」の第3弾。昨日の「わからん施設」と言うのが、これだったのです。
取りあえず今日は面接に行きましたが、何ともいえない感じ。いや、別に良い・悪いということではないのですが・・・今まで一応は「施設」(ハード面)に恵まれていた部分があったので、今回の場所はちょっと「・・・」となる感じだったのです。(いや、一応設置している法人は有名な法人なんですけどね。)
で、どうして「・・・」となったかと言うと、その「秘密」が今日のコトバに隠されているのです。
授産施設には色々な種別があるということは「コトバ★授産施設」で触れましたが、今回は「知的障害」の分野に限って取り上げたいと思います。基本的に施設に関する定義は各々の法律(身体障害者福祉法・知的障害者福祉法など)によって決められていますが、その詳細については「規則」や「省令」などで決められています。そして知的障害者授産施設の詳細についても「知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準」(省令)で定められています。知的障害者授産施設では、この省令においては次のように定められています。
第四章 知的障害者授産施設
(種類)
第46条 知的障害者授産施設の種類は、次の各号に掲げるとおりとし、その定義は当該各号に定めるとおりとする。
1 知的障害者入所授産施設 知的障害者授産施設であって、第二号に規定する知的障害者通所授産施設及び第三号に規定する知的障害者小規模通所授産施設以外のもの
2 知的障害者通所授産施設 知的障害者授産施設のうち通所による入所者のみを対象とするものであって、第三号に規定する知的障害者小規模通所授産施設以外のもの
3 知的障害者小規模通所授産施設 知的障害者授産施設のうち通所による入所者のみを対象とするものであって、常時利用するものが20人未満であるもの(規模)
第48条 知的障害者授産施設は、次の各号の区分に従い、それぞれ当該各号に規定する規模を有するものでなければならない。
一 知的障害者入所授産施設 30人以上の人員を入所させることができる規模
二 知的障害者通所授産施設 20人以上の人員を入所させることができる規模
三 知的障害者小規模通所授産施設 10人以上の人員を入所させることができる規模
2 知的障害者授産施設(知的障害者小規模通所授産施設を除く。)は、当該施設と一体的に管理運営を行う通所による入所者の支援を行う施設であって入所者が二十人未満のもの(以下この章において「分場」という。)を設置する場合は、5人以上の人員を入所させることができる規模を有するものとしなければならない。
つまり、利用者の人員や入所・通所によってその種別は違ってくるのです。さらにこの分類は単に人数や入所・通所だけにかかわるものではなく、種別によって「施設」として設けなければいけないものが異なってくるのです。言葉で書くと長ったらしくなるので、こう言うときは「表」にまとめます。
知的障害者入所授産施設 | 知的障害者通所授産施設 | 知的障害者小規模通所授産施設 | |
入所人員 | 30人以上 | 20人以上 | 10人以上20人未満 |
居室 | ○ | ||
静養室 | ○ | ○ | |
食堂 | ○ | ○ | ○ |
浴室 | ○ | ||
洗面所 | ○ | ○ | ○ |
便所 | ○ | ○ | ○ |
医務室 | ○ | ○ | |
作業室又は作業場 | ○ | ○ | ○ |
作業設備 | ○ | ○ | |
更衣室 | ○ | ○ | |
調理室 | ○ | ○ | |
相談室 | ○ | ○ | |
運動場 | ○ | ○ | |
会議室 | ○ | ○ | |
宿直室 | ○ | ||
指導室 | ○ | ||
事務室 | ○ | ○ |
ちなみに「居室」と「静養室」の違いですが、居室の場合は「生活の場」としての意味であり、静養室の場合は「寝台又はこれに代わる設備」を備える部屋のことを指します。
さて、上記の表を見てもわかるとおり、同じ「知的障害者授産施設」でも、施設種別によって設備内容に大きな差があることがわかると思います。特に「知的障害者通所授産施設」と「知的障害者小規模授産施設」では設備基準に雲泥の差があることがわかると思います。さらにそれぞれの施設種別の基準においては、次のような「但し書き」があります。
ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより当該知的障害者入所授産施設(知的障害者通所授産施設・知的障害者小規模通所授産施設)の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の支援に支障がないときは、次の各号に掲げる設備の一部を設けないことができる。
つまり100%これらの施設を用意しなければいけないのではなく、他の設備を使うことによって利用者支援に支障を来たさない場合は、その設備の設置を省略できる、と言うことを意味しています。だから・・・例えば「運動場」の場合、仮に運動場がなかったとしても施設の敷地を使って運動することができる場所を提供できるのであれば「運動場」として特に設置する必要はないと言うことを意味しています。
となると、施設によっては様々な都合によって「一部を設けない」と言うことができてしまうので、実際にはこの基準以下になることもあるのです。(もちろん、表向きには「これが代替のものです」と説明できるようにはなっていますが・・・)
さて、今日私が面接に行ったのは「知的障害者小規模授産施設」でした。ですので、前職の「知的障害者通所授産施設」に比べたら施設のハード面では大きな差があることがわかると思います。正直「入所者19人なら、いっそのこと20人にしちゃえばいいのに・・・」と思っていましたが、実は「19人」と「20人」の間には「施設設備基準」の点で大きく異なってしまうことがわかると思います。そのため、今までハード面で整った施設で働いていた自分にとっては「・・・」となってしまったのです。もちろん前職の「知的障害者通所授産施設」の時も関連法人事業で法外の「小規模作業所」を運営しており、そこに何度も足を運んでいたので、そのような施設がある実態は知っていましたが、いざ自分がその場に目の当たりになると「・・・」と言う状態でした。いや、別に働くことはできると思うのですが、「働きにくさ」と言う部分はあるかもしれません。もっとも、まだ採否すら決まっていない状態での話なので単なる「空論」に過ぎないのですが・・・
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