目的は、どこに?
何だか仕事の愚痴っぽくなっちゃってイヤだけど・・・でもちょっと自分の「思い」を消化したいから、カミングアウト。
福祉の世界に限らず、どこの企業でも3月は「決算」の時期。当然予算の区切りも来月で年度区切りになり、予算の執行状況も確認している状態。前の職場では事務方から毎月事業に関わる予算執行状況の報告が下ろされていたから、それに基づいて行事を立てたり備品の購入をしたり・・・などをしてきた。しかし今の職場はその位置からはだいぶ離れている状態。「何かあったら言ってね」程度のこと。で、今日も「3月に駆け込みで購入すると怒られるから、必要なものがあったら言ってね。今のうちに買っちゃうから」とのこと。
もちろん必要な備品はたくさんある。細かいものから、大きいものまで様々・・・
その中で1つあったらいいなぁ・・・と思っていたのが、片手バサミ。どういうものかって言うと、こういうやつ。
いわゆる「自助具」の1つで、障害などがあって普通のハサミが使えない人がこういった特殊な形状に施されたものを使用することによって使えるようにするハサミ。このハサミであれば普通のハサミが麻痺などにより握れない人でも、ハサミを机などの上に置くだけで、柄の部分を押して切ることのできるハサミ。だから四肢麻痺などがある人にとっては、結構重宝するハサミ。ただうちの施設にはこれが2本しかなく、そのうち1本は切れが悪い。なので「これ(片手バサミ)買っても言いですよねぇ」と提案すると、別の職員からこんな意見が。
「あるからいいじゃん。それにそんなにたくさん使わないし。しっかりしたハサミを買ったほうがいいよ」
うーん・・・なんか視点が違う。
たしかにこのハサミを使う人の人数は決して多いとはいえないし、そんな頻度も多くはない。ただ、以前に比べてこのハサミを活用できる人の人数は、今年度の入所者の増加で増えたはず。昨年度までだったら2本で足りたかもしれないけど、今は今年度入所してきた人が全員このハサミを活用できる可能性のある利用者ばっかり。このハサミを活用することによって、作業活動などの幅も広がっていくと思って提案をしてみたけど、「頻度」の問題だけで解決していいのかなぁ・・・と感じた。
なかなか言えない立場なんだけど、でもちょっと違うと感じている自分。
あくまで自分たちが利用者に支援する目的は「利用者の生活の幅を広げる」ことにあると思う。そのためにはその目的を達成できる可能性があるのであれば、その労を惜しむことなく機会を提供するべきなんじゃないか・・・と感じる。自分たちの都合でやってしまうのではなく、「もしこう言うのがあったら、もっと利用者のできる幅が広がっていくんじゃないのかなぁ・・・」と言う考えで支援をしていくことが必要なんじゃないのかなぁ・・・と感じている。もちろん普通のハサミを使えるようになればそれはそれに越したことはない。しかし当然限界もあるわけであり、「普通のハサミを使う」ことだけに固執してしまっては、結果としてその人に何が残ったのか・・・ということになってしまう。そういった方向を目指すよりも、今現在持っている能力を最大限発揮する方法を考えていくことの方が重要なのではないか、と個人的に感じている。普通のハサミだったら、その辺でもどこでも買える。でも片手バサミの様な特殊なものに関しては、それなりに業者にオーダーを出して注文しなければ買うことができない。もっと言えば、別に片手バサミだって普通のハサミと同じように使うことだって十分にできる。いわば「ユニバーサルデザイン」とでもいえるもの。頻度を理由にその可能性を閉じてしまうのは、支援としてはちょっと違うのかなぁ・・・と感じる。
たしか前の職場で自分が行事担当をしていたときに書いたことかもしれないけど、労して考えた計画は労を費やしただけの成果としてかえってくるけど、労せずして考えた計画は、その程度の結果しか残せない。結局「労を惜しんだ支援」をしてしまったら、利用者にとっては何のメリットもない支援になってしまう。労を惜しまず、骨を折りながら支援をするのだから、労をかけた分だけ利用者に反映されるのではないのかな・・・と個人的に考えています。
今日はちょっと風船爆発気味だったので、ここで空気抜きをさせていただきました・・・(^^ゞ
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