当然の結果・・・かな?
Yahooニュース「たん吸引が必要な女児の入園、東京地裁が仮義務付け」
気管切開手術を受け、吸引器によるたん吸引が必要な東京都H市のAちゃん(5)が、市立保育園などへの入園を拒否されたのは違法だとして、父のBさん(40)が同市に入園の承諾を求めた裁判で、東京地裁の菅野博之裁判長は「幼児期の集団生活は子供の心身の成長に重要で、入園が認められないと回復不可能な損害を受ける」と述べ、入園を認めるよう仮に義務づける決定をした。決定は25日付。
Aちゃんは数時間に1回、つばやたんの吸引が必要だが、それ以外は通常の日常生活を送っている。両親の入園申し込みに対し、市は昨年3月、「たん吸引は医療行為で、適切な保育を確保するのが困難」などとして拒否したが、決定は「たんの吸引は、保育園に配置されている看護師で対応可能」と指摘した。
仮の義務づけを求める訴えは、昨年4月に施行された改正行政事件訴訟法で新設された救済制度で、判決が出る前でも、回復不可能な損害を避けるために緊急の必要性がある場合には、行政に一定の処分を命じられる。
26日午後、会見したAちゃんは「早くお友達とおもちゃで遊びたい」と笑顔を見せた。
決定を受け、H市は26日、Aちゃんの受け入れを決めた。同市児童福祉課によると、市内15保育園のうち13園には看護師が1人ずつ常駐しているが、園児全員に目配りする必要があるため、新たに1人の看護師を確保する。(読売新聞)
以前「コトバ★医行為」でこの記事について取り上げましたが、その続編。今回の「決定」(以前取り上げた記事は「損害賠償請求」と「入園承諾」を求める訴訟であり、今回は「入園承諾」の部分に対しての決定が出された形)は、ある意味「当然」の決定であると思う。以前の記事でも「訴訟そのものは負けても、「行政の不作為」と言う点では認められるのではないのかな・・・と思っています」と書いたように、まさに今回の決定はそのことを具現化しているものと考えられる。さらに以前の記事では「日本国憲法」と「児童福祉法」の一部を次のように引用した。
日本国憲法
第25条(国民の生存権、国の保障義務)
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面において社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。第26条(教育を受ける権利、受けさせる権利)
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。児童福祉法
第1条(児童福祉の理念)
すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
② すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。第2条(児童育成の責任)
国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
決定の中にある「幼児期の集団生活は子供の心身の成長に重要で、入園が認められないと回復不可能な損害を受ける」と言う指摘は、日本国憲法第25条の「生存権」と児童福祉法第2条の「児童育成の責任」を根拠にした決定であると言えると思う。そういった意味で今回地裁が出した決定は、当然の結果なのかな・・・と思います。ただ今回の決定は訴訟の「中間判決」であり、もう1つの「損害賠償請求」に関しての判決は出されていない。今回の決定によって市は新たな看護師を配置するなどの対応を採ることになり、今後の訴訟に変化が起こることも考えられるけど、とりあえずは本件の重要な部分・核心になるところに関しては一応の決着となった。今後この訴訟が取り下げられるのか、和解になるのか、それとも判決が出されるのかはわからないけど、今日の決定はこの子にとっては大きな1日であったに違いないだろう。
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