コトバ★「障害者自立支援法その6」
今回のコトバは「障害者自立支援法案」の第6弾。正確には「法案」ではなく「法」ですね、既に可決・成立しているので・・・
今まではまだ「決まる前」の段階で話をしていましたが、今回からは「既に決まった」ものなので、それを元に話をしていきたいと思います。とはいえ、内容も支援費制度から大幅に変わるので、数回に分けて話をしていきたいと思います。なお、コトバとしての通し番号は「障害者自立支援法案」のときから継続してカウントしていきたいともいますので、今回が「第6弾」とさせていただきます。また今後の解説に関しては厚生労働省と全国社会福祉協議会が作成したパンフレットを元に説明をしていきたいと思います。
今回は「障害者自立支援法」の概要について話したいと思います。
これまで日本の社会福祉制度は「措置」と言う「行政処分」によって行われてきました。これは「福祉を必要とする人」に対して適正に福祉を提供するために採られた「選別主義」の考えによるものです。そのため国や地方自治体からの一方的な提供による福祉となっていました。しかしその後「利用者主体の福祉制度の構築」を求める声が大きくなり、それが「社会福祉基礎構造改革」となり、高齢者分野では平成9年に施行された介護保険法が、そして障害者分野に関しては平成15年度から「支援費制度」が施行されました。
しかし支援費制度に関しては、施行後いくつかの問題点が浮き彫りになってきました。
そのうちの大きな問題として「財源不足」が支援費制度を維持するに当たって大きな問題となりました。支援費制度に移行後、ホームヘルプサービスを利用する利用者の数が当初の想定よりも大幅に多く、それに伴い予算を上回る利用量となりました。さらにその都度予算を上乗せしても、それ以上に利用が多くなり、制度そのものの運営が困難な状況に追い込まれていきました。
また支援費制度の対象は身体障害と知的障害に限られており、精神障害は支援費制度の対象外とされていました。さらに支援費制度によるホームヘルプ・ガイドヘルパーなどのサービスは地域格差があることが指摘されており、自治体によってサービス支給量に大きな隔たりがあったのが事実です。
そこでこのような問題を解決するために制定したのが、障害者自立支援法です。障害者自立支援法の大きな特徴は
1.障害の種別(身体・知的・精神)に関わらず、サービスを利用するための仕組みを一元化し、施設・事業を再編
2.市町村が責任を持って、一元的にサービスを提供
3.利用者に対して所得に応じ、サービス利用によって発生した利用料を利用者が負担
4.就労支援の強化
5.支給決定の仕組みを透明化・明確化
の5つにあります。つまりこれまで「国の責任」で行っていた障害者福祉に関して「市町村の責任」において実施することが、支援費制度との大きな違いになります。またこれまで「利用者の所得」(利用者が未成年の場合は、扶養義務者)に応じて利用料を計算していた(応能負担)ものを、「利用したサービス」の量に応じて利用料を計算(応益負担)することが、今回の「障害者自立支援法」の重要なポイントとなります。
また障害者自立支援法では「障害の種別に関わらず、サービスを一元化」と書かれていますが、具体的には障害の種別ごとにあったサービスを統一し「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つに分けて提供することになっています。このうち「自立支援給付」は制度として行われるもので、大きく大別して「介護給付」「訓練等給付」「自立支援医療」「補装具」の4種に分類されます。一方「地域生活支援事業」は市町村の裁量によって実施を決めることができ、市町村独自で障害者支援のためのサービスを行っていく事業となります。そのため地域生活支援事業に関しては、市町村によってそのサービスの内容に違いが出てくることになります。
今回は障害者自立支援法の概要について触れました。次回は障害者自立支援法によって変わる「福祉サービス」の内容について触れたいと思います。
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