コトバ★「虐待その3」
毎週土曜日や展開している「コトバ」。本来なら今日はフツーのことを書くつもりでした。
でもニュースのネタ記事を使ってしまうと、やはり「コトバ」として取り上げるのが適切かな・・・と思い、急遽変則の「コトバ」です。
今回のコトバは「虐待その3」。「コトバ★てんかん」と同様に、虐待も「その3」までなってしまいました。
Yahooニュース「児童虐待相談3万2979件、14年で30倍に」
全国の児童相談所で2004年度に処理した児童虐待の相談件数が、前年度を24%上回る3万2979件に達したことが20日、わかった。
相談件数の増加は14年連続で、統計を取り始めた1990年度の約30倍にのぼった。児童虐待が深刻化している実態が改めて浮き彫りになり、厚生労働省は、子供の保護や親のケアを行う児童福祉司を増やすなどの対策に乗り出している。
厚労省のまとめによると、全国182か所の児童相談所への虐待相談件数は、04年1月まで、ほぼ月2000件前後で推移していた。
しかし、同月、大阪府岸和田市で中学3年の少年を衰弱死寸前まで追い込んだとして父親と内妻が殺人未遂で逮捕された事件が発生したのを境に、相談件数は月3000件台に急増。04年度も、月によって多少の増減はあるものの、ほぼそのままの水準で推移。9月には、栃木県小山市で幼い兄弟が父親の知人に虐待され、死亡する事件が起き、相談件数は05年2、3月を除くすべての月で前年同月を上回った。
厚労省によると、統計を取り始めた90年ごろは、明らかに虐待を受けたケースの通報が多かったが、04年10月、虐待の疑いのある児童を発見した場合、確かな証拠がなくても児童相談所などへ通告することを義務づけた改正児童虐待防止法が施行され、疑わしいケースの相談が増えているという。
同省虐待防止対策室では「今年度も児童虐待は相次いで表面化しており、相談や通報はさらに高まるのではないか」とみており、今年度、児童福祉法施行令を改正。児童福祉司の配置基準を「人口10万~13万人に1人」から「5万~8万人に1人」とし、児童福祉司が昨年よりも190人増えた。(読売新聞)
えーとですね・・・記事では「深刻化している実態」とありますが、「実態」は既に以前からあったのです。確かに深刻化はしているかもしれないけど、それは「表面化された虐待」が極度のネグレクト(養育放棄・怠慢)であり、一般の人とって衝撃的なものであったからこそ「深刻化している」と評されてしまうのです。自分が思うに、別に深刻化はしていません。単に、改正児童虐待防止法・改正児童福祉法施行令によって児童虐待が「顕在化する数」が増えただけのことなのです。「前年度を上回る」とありますが、統計を取り始めている1990年以降、児童虐待の相談件数が減ったことは1度もありません。つまり、毎年増加しているのです。
何故増加しているのか、それは今まで表に出なかったものが表面化しているだけのことなのです、単純に言えば。
もちろん児童虐待の数そのものも増えていることは否定ませんが・・・
児童虐待だからこそ、これだけ話題にあがるのです。
知的障害の現場に立って3年目を迎えますが、知的障害の現場でも「家庭内虐待」の実態は存在します。
しかし成人であるが故に介入できない部分もあります。ましてや完全に民間施設(自治体が絡まない、社会福祉法人やNPO法人などが設立した施設のこと)の場合、施設が家庭に介入する権限はなく、自治体を通じて絡むことになります。でも自治体も児童相談所同様(いや、児童相談所以上に)及び腰の部分があるので、結局のところは「何か起こらなければいいのだけど・・・」で終わってしまうのです。
児童虐待の場合は法的に規定がされているので、法令を理由に介入する権限を有します。
しかし成人になってしまうと、そのような根拠はなくなってしまいます。知的障害の部分に限らず、高齢者虐待も同様です。
色々と脱線しながらの話でしたが、児童虐待の実態は「深刻化」したのではなく「顕在化」したのです。
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