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2005.05.07

コトバ★「虐待その2」

今回のコトバは「虐待」のその2です。新聞記事からの出典です。

Yahooニュース「児童虐待死、8割以上は相談所などが事前に関与」

 児童虐待防止法が施行された2000年11月以降、虐待により子どもが死亡したケースは149件(152人)に上り、このうち8割以上のケースには、保健所や児童相談所などが、相談の受け付けや養育支援などの形でかかわっていたことが、厚生労働省の「児童虐待要保護事例を検証する専門委員会」(委員長=松原康雄・明治学院大教授)のまとめで分かった。
 専門委によると、149件のうち、出生届が提出されていないなどの理由で、虐待児について、死に至るまで保健所などが把握できなかったのはわずか20件。
 87件のケースでは、保育所や医療機関が虐待を疑いながら支援の必要はないと判断したり、保健師が独自に解決しようとして児童相談所に通告しなかったりするなど、関係機関内で情報が適切に共有されていなかった。残りの42件は、児童相談所が育児相談を受けながら虐待の事実に気づかなかったり、転居後の追跡調査を行っていなかったりしたケースだった。
 専門委は、児童相談所が一時保護などの対応に乗り出していた3例を検証。その結果、いずれも虐待を否定する両親の言葉を過信するなど、父母への気兼ねや状況判断の甘さがあったことが分かったという。
 専門委の松原委員長は「専門的な見立てや診断ができるよう、児童福祉司の資質の向上や市町村や警察などとの連携が必要」と訴えている。(読売新聞)

自分の今いる専門領域は「知的障害者福祉」なので、児童福祉の現場にいる方から見れば的外れなことを言っているかもしれませんが・・・・少なくとも、「児童福祉司の資質」だけによる問題だけではない、と考えています。と言うより、とにかく「児童虐待」「児童福祉」に対する施策がグダグダのような感じがします。

専門委員会は「専門的な見立てや診断ができるよう、児童福祉司の資質の向上や市町村や警察などとの連携が必要」と言っているみたいですが、その一方で厚生労働省は「児童福祉司の数が全国的に不足している」と言うことを理由に、児童福祉司の資格要件を拡大し門戸を開放する方針をを決めています。このことは既に「コトバ★児童福祉司その2」で取り上げている通りです。

また「児童福祉司の資質向上」を訴えていますが、実際児童福祉司が取り扱う問題は虐待事案だけではありません。「コトバ★児童相談所」やValtanさんの「児童福祉司日記」にある「児童相談所は児童虐待だけではない パート2」にも書いてあるように、実際のところは児童虐待などを含む「養護相談」よりも発達障害などの「障害相談」の比率が高いのです。つまり「児童虐待」の問題は児童相談所全体ではその相談比率が低いものの、事案の重大性・社会の関心度としては非常に高いため、児童虐待の問題が提起されるとその矛先が児童相談所や保健所に向かっているような気がしてなりません。
(児童虐待の問題を「事案の重大性」という表現をしてしまうのは、他の問題(発達障害、ぐ犯・触法など)を軽視しかねない発言につながり、表現方法に苦慮しました。しかし認識していただきやすい形の表現としてこのように書かせていただきました。決して他の問題が重要ではない、と言うことを意味しているわけではないので、ご理解を頂ければと思います。)

果たしてこのような中で「資質の向上」は本当に可能なのでしょうか?
これまでこのblogでも児童相談所・児童福祉司・虐待に関して何度となく取り上げてきました。その一端を示したものが「虐待の見極め」の記事の中で表しており、業務量の膨大さに児童福祉司1人が担う仕事量の多さに唖然・愕然とした思いがあった。また委員会発言の「市町村や警察などとの連携が必要」と言うことに関しても、既に実践しているのです。ですから自分からしてみれば委員会発言は「何を今更そんなことを言っているの?」と言う感じであり、明らかなる「机上の空論」に過ぎない感があります。

児童虐待の問題、もっと根本から考えなければならないのだと思います。
もちろんそのためには児童福祉司の増員・児童福祉司の資質向上・関係機関との連携は当然にあります。しかし「児童虐待対応の仕組み」を既にある器、つまり児童相談所や保健所などに無理やり組み込んでその業務を児童福祉司に任せようとしているのだから、児童相談所や保健所の「機能としての飽和」に至ってしまっているのではないか、と考えています。また児童相談所の場合、対象として接しているのは児童本人だけではなく家族、つまり親が存在しているのです。社会福祉の観点から言えば「親との関係構築」(=専門的に言えばラポール形成)があって初めて支援が軌道に乗るわけであり、いきなり「虐待しているから子どもを保護する」では、その場では子どもの安全は保障されるかもしれませんが、その時点ですべての関係は終わってしまいます。「父母への気兼ね」と言う言葉を使っていますが、それは気兼ねではなく児童虐待を発見・防止するための「ギリギリの攻防戦」の1つではないのか、と考えています。

そういった背景を理解しないうえで「児童虐待要保護事例の検証」を行っているのであれば、まさしくこれらの検証は空虚以外の何者でもありません。もっと現場の声を汲み上げて、その上で「どうすれば不幸が少なくなるのか」を考えていくことが、専門委員会の役割ではないのでしょうか?委員会の発言は、兎角提言ばっかりです。提言するのはわかったから、もっと具体的な実行策・実行意見を出して欲しいものと思います。

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