コトバ★「デイサービス」
今日のコトバは「デイサービス」。以前「授産施設」と言うことで取り上げましたが、今回も同様に取り上げたいと思います。
もっとも、「授産施設」にしても「デイサービス」にしても、実際に自分が従事しているから書こうとしているだけなんですけどね・・・(笑い)
★「デイサービス」とは
前回の「授産施設」の時と同じように、デイサービスも利用対象者の種別によって、その種類が分かれます。
現在「デイサービス」として定められているのは高齢者デイサービス、身体障害者デイサービス、知的障害者デイサービス、障害児デイサービスがあります。ただ「授産施設」の場合は法令に「授産施設」と明記されていましたが、デイサービスの場合は明記されていないことがほとんどです。これは「デイサービス」と言う施設があるのではなく、市区町村がそれぞれ行っている「デイサービス事業」を実施する場所としての法令根拠に拠るところです。
・介護保険法による「デイサービス」→介護保険法では「通所介護」として。
この法律において「通所介護」とは、居宅要介護者等について、老人福祉法第五条の二第三項に規定する厚生省令で定める施設又は同法第二十条の二の二に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴及び食事の提供(これらに伴う介護を含む。)その他の日常生活上の世話であって厚生省令で定めるもの並びに機能訓練を行うことをいう。 (介護保険法第7条の11)・老人福祉法による「デイサービス」
老人デイサービスセンターは、第10条の4第1項第2号の措置に係る者又は介護保険法の規定による適所介護に係る居宅介護サービス費若しくは居宅支援サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を通わせ、第5条の2第3項の厚生労働省令で定める便宜を供与することを目的とする施設とする。・身体障害者福祉法による「デイサービス」→身体障害者福祉法では「福祉センター」として。
身体障害者福祉センターは、無料又は低額な料金で、身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し、機能訓練、教養の向上、社会との交流の促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設とする。(身体障害者福祉法第31条の2)・知的障害者福祉法による「デイサービス」
知的障害者デイサービスセンターは、知的障害者デイサービスを提供することを目的とする施設とする。・児童福祉法による「デイサービス」→児童福祉法においては「障害児通園事業」として。
知的障害児通園施設は、知的障害のある児童を日々保護者の下から通わせて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。(児童福祉法第43条)
※ここでは「知的障害児」と限定しているが、知的障害者に限らず、各市区町村の実情に側して実施することができる。
「デイサービス」と言うのは、事業の内容であって、授産施設や更生施設、特別養護老人ホームのような「施設」と言うものでありません。例えば高齢者の場合は「特別養護老人ホーム」の中に「デイサービスセンター」が併設されており、そこでデイサービスを提供するということもありますし、特に施設を持たずに「デイサービスの提供」だけを目的にして運営している事業体もあります。同様に障害者の場合も1つの建物の中に身体障害者のデイサービス(法的に言う「身体障害者福祉センター」)や知的障害者のデイサービス(知的障害者デイサービスセンター)を併設しているところがあったり、様々な福祉事業(授産施設・デイサービス)の複合施設として事業を行っているところもあり、デイサービスの提供形態は多岐にわたり、様々です。
★「デイサービス」と「デイケア」の違いは?
これは私も学生の頃は良くわかっていなかったのですが、「デイサービス」と「デイケア」はとても似ている様に見えますが、制度的には違うものなのです。「デイサービス」と「デイケア」の違いについて、有斐閣発刊「現代社会福祉辞典」によると、高齢者と障害者それぞれの「デイサービス」「デイケア」について、次のように解説されています。
高齢者における「デイサービス」
老人デイサービスセンターなどに通うことによって、高齢者の心身機能の維持とともに社会的孤立の解消や、家族の心身の介護負担を軽減することを目的としている。通所介護計画に基づき、入浴・食事、介護、日常生活の世話などのサービスが利用できる。高齢者における「デイケア」
介護保険法の基準に適合する高齢者が介護老人保健施設(通称「老健」と呼ばれるところ)、病院・診断所において、リハビリテーション計画書に基づき、心身の機能の維持・回復を図り日常生活の自立を意図した理学療法・作業療法などのサービスを利用できる。障害者における「デイサービス」
地域において就労等の機会が得られない在宅重度障害者が通所し、創作的活動、文化的活動を行ったり、機能訓練、社会適応訓練を受ける。家族等に対する介護方法の指導、生活援助方法の指導が行われる。入浴サービス、給食サービス等を提供し、障害者の自立、生きがい、社会参加を促進することを目的としている。障害者における「デイケア」
在宅で生活をしているものを対象に昼間にケアをするという意味であり、障害者福祉の分野においては、精神障害者を対象とする精神保健福祉センター、保健所、地域生活支援センター等で実施されている。具体的にはスポーツ、レクリエーション、話合い、料理、創作的活動、外出、諸行事などが行われている。(有斐閣「現代社会福祉辞典」より引用、一部省略)
こうやって見てみると「高齢者」と「障害者」によって、「デイサービス」「デイケア」の意味がずいぶん異なっているみたいです。
高齢者の場合は「デイサービス」の場合は「通所介護」として、介護などの「福祉的側面」を重視した内容になっているの対し、「デイケア」の場合は「通所リハビリテーション」として、機能訓練など「医療的側面」を重視した内容であることがわかります。
一方障害者の場合は「デイサービス」の場合は身体障害者・知的障害者に対しての提供を、「デイケア」の場合は精神障害者に対しての提供を意味しているといえます。
正直障害者分野における「デイサービス」「デイケア」の分類はいまひとつ理解していませんでしたが、正直障害特性で分けられてしまうのは、ちょっと厳しいかな・・・と感じます。また私自身が「デイケア」の現場に立ったことがないので実際を述べられないのかもしれませんが、「デイサービス」と「デイケア」では言葉だけではなく、その内容も違っていることを理解していただければと思います。
(参考文献)
新版社会福祉士養成講座3「障害者福祉論」第2版(中央法規)
「現代社会福祉辞典」(有斐閣)
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