「虐待」の見極め
今日もおまけでもう1本。
yahooニュース、児童虐待の事例をデータベース化…都が来年度から導入
児童虐待への対応の遅れが子供の死亡などにつながるケースを防ぐため、東京都は、児童虐待の過去の事例について、虐待の実態や、児童相談所側の対応とその結果などをデータベース化し、一時保護などの措置に踏み切る際に判断の参考にできるシステムを来年度から導入する方針を決めた。
児童相談所ではこれまで、児童福祉司などの経験に頼りがちで、結果的に対応が遅れるケースもあった。都は、このシステムの導入により、相談件数の急増で過重となっている相談所の負担も軽減できると見込んでいる。
2003年度に都内の児童相談所が受理した虐待の相談件数は2481件。1998年度は714件で、5年間で3倍以上に膨らんだ。今年10月には改正児童虐待防止法の施行により、児童相談所への通告義務が「虐待が疑わしい」ケースに広がるため、相談件数はさらに増えると見られている。
一方、都内の児童福祉司は142人。虐待だけでなく、養育、障害相談など様々な案件を受け持ち、1人が常時、100―150件の相談を抱えて対応に追われている。
こうした現状について多摩地区の児童福祉司(38)は「忙しさの中で、虐待の兆候など基本的なことを見落とすこともある」と打ち明ける。
現在、都内の児童福祉司は2、3人のチームで動いており、一時保護や立ち入り調査などの必要性が出てきた場合は、関係機関と会議を開いて方針を決めている。家庭に対して強い権限を行使する以上、それなりの根拠が必要だが、介入のタイミングが遅れると、子供の命にかかわる場合がある。
一方で、虐待を受けている可能性がある子供自身が親と離れたがらないケースもある。難しい判断を迫られる会議の最終結論は結局、児童福祉司の経験に頼ることが多いという。
都がデータベース化するのは、過去数年分の相談事例。子供の身長体重などの健康状態、登校の状況、保護者にアルコールや薬物依存の問題があるかどうか、保護者の児童相談所への反応などをプライバシーに配慮したうえで蓄積する。
キーワードで検索すれば、過去の同様ケースでは、どの時点で一時保護や立ち入り調査を行い、最終的にどのように家庭復帰を図ったか、などの情報が即座に得られるようにする。
「経験」だけではなく「実績」を用いた新たな処遇方法の1つ、ってところかな?
でも自分が学生の頃、児童相談所に実習に行って感じたのは「メッチャ大変な職場だなぁ・・・」ってこと。自分が実習に行ったときに見たり聞いたりしたケースは、単純に「虐待」という言葉で済むものではなく、正直言葉では言い表せないくらいの内容があった。新聞記事になった虐待ケースを担当した児童福祉司の方もいたし、裁判所で虐待に関連した裁判を傍聴しながら今後の処遇に関して検討していた児童福祉司の方もいた。そして自分の実習指導に当たった児童福祉司の方も、警察や保健所など多くの関係機関と連携を図りながら処遇対応をしているケースを持っていた。部分的に、そのケースに自分も同行したことがあった。一方で、養育・発達相談や障害に関しての家庭訪問なども児童福祉司の方は合わせて対応をしていた。
あまりにもハードな児童相談所の実態を見て、正直「ここで働いてみたいけど、いざ自分が児童福祉司になったとしたら、この仕事は務まるのかなぁ・・・」と不安になってしまうくらいのものだった。実際、自分を担当していただいた児童福祉司の方にお話を聞いても「一人の福祉司の持つケースが増えている一方で児童福祉司が増員されない現状では、質の高い・きめ細かい処遇を行っていくには限界がある」と話されることがあった。
今回のシステム導入はこれらに対する対応の一環だと思うが・・・たしかに今までの虐待ケースをデータベース化すれば、ある種の「マニュアル」的なものはできるかもしれない。でもこのことが児童相談所機能・児童福祉司ケース肥大化の根本解決になっているとは完全には言い切れないのかなぁ、と思う。現場の声としては「児童福祉司の増員」がある以上、やはりマンパワーを増やしていくことの方が急務ではないのかな?
ちなみに、児童相談所実習での自分の実習ノート、最終日にはこんな風に書いてあった。
今回の実習では今までの実習とは性格が異なり、考えさせられることの多い実習だった。児童虐待の問題については、これまで統計上の理解にすぎなかったが、実習中の受理・処遇会議、ケース記録を読みその内容の深刻さを感じた。また虐待以外の問題(触法・ぐ犯、養育困難など)などもケース記録などから問題の難しさを感じたが、どのような事柄に関しても共通して感じたのは、児童の問題の多くは「家庭」から起因しているものであると言うことだった。今回見たケースの内容を読んでいくと、問題に発展する経緯の根本にあるのが親(夫婦間など)の問題や子の生活環境・養育環境の不備による問題などがほとんどで、子が問題の原因となることは少ないと感じた。そのため結果として親の事情・問題によって子が巻き込まれ、その矛先が子に向いていると感じた。さらに、そのようなことが子に与える影響も大きく、「子どもの健全育成」という点では明らかに反していると感じる。
「児童の健全育成」は児童福祉法の理念として掲げられており、児童福祉の理念でもある。児童相談所はこの理念に基づき、あらゆる方法で児童を支援していかなければならないと思う。しかし本当に支援をしなければならないのは「児童」だけではなく「家庭」ごと支援することである。問題の所在は児童ではなく家庭にあり、家庭抜きに問題の解決はありえないと言える。そのため児童福祉の問題は家庭全体をトータルに捉えた対応が必要であり、家庭問題の解決こそが児童福祉を達成する目標であると感じた。
何か自分ながらスゴイ文章を書いているが・・・
児童の問題は一筋縄ではいかない現状がある。だからこそ、必要なところにはいろんな意味で「手厚く」する必要があるのだろう。
(参考ページ 児童相談所実習-「御岳の山」より)
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