「実習」をする意味
予告どおり、別スレで「実習」について。
「実習」と言うのは、本来「するもの」ではなく「させて頂くもの」であると考える。と言うのは、「実習先の都合がありながら、これからの人材育成のために忙しい合間をぬって、学生などを現場に受け入れて頂いて現場経験をすると共に、より学習の効果を裏付ける」ものが実習であると考えられるからである。
つまり、あらゆる現場実習は「施設が募集している」のではなく、「学校側が様々な施設に依頼して、学生に実習の機会を設けてもらうことをお願いしている」のが本筋である。だからこそ、学校側では現場実習に行く際に「事前指導」などに力を入れているのである。現場に学生が入ると言うことは、学校の看板を背負っているのと同じ意味を持っている。それ故学校としては「粗相のないように・・・」という気持ちもあるだろう。
そこで今週の介護体験の学生について。
ハッキリ言って態度はなっていない。施設内で行っている作業に関して、作業量の多い・少ないは個人差があるだろうから何とも言うことはできないけど、「意欲」という点では能力は関係ないだろう。この学生、うちの施設での実習期間を通じて、全くやる気が感じない。具体的には、足を組みながら座っていたり、椅子にしっかりと腰を掛けずに座っている。あるいは大あくびをかきながら作業していたり、頻繁に離席をする。そして退屈そうにしていたり、居眠りをする。こんな態度を取っていては、とてもじゃないけど「やる気がある」とは到底言えない。実習をナメているとしか言いようがない。この態度のどこに「やる気」があるのか、説明して欲しい。
これは私が専門学校の学生時代に、私の先生から言われたことである。
「『実習』に行くと言うことは、他人のプライベートに土足で足を踏み入れることと同じである。だからこそ、利用者に対して失礼のないように、しっかりとした態度で実習にのぞんで欲しい。できない人は、実習に行かないで欲しい」
どういうことなのか?例えば私が今勤務している「通所施設」であればさほど感じることはないと思うが、老人ホームや障害者などの「入所施設」の場合、その利用者にとってはその施設がその人の「生活の場」となる。「生活の場」と言うことは、当然そこにはプライベートが存在する。私たちの生活にも個人それぞれに「プライベート」があるのと同じように、利用者にとっても当然「プライベート」は存在している。プライベートな時間に関しては、私たちは誰からも干渉される筋合いはないし、どのように過ごそうと個人の自由である。当然、他人から覗き見られる筋合いもないし、そのようなことがあれば、それは「プライバシーの侵害」である。
今言ったこと、もちろん入所施設で生活する利用者にとっても同じである。
ではもし、あなたがこのような入所施設で生活していたと仮定して、自分のプライベートが見ず知らずの人に見られるとしたら、あなたはどう思うだろうか?ほとんどの人は、決して良い思いはしないはずである。なぜなら生活すべてが見られるからである。朝起きるところから始まり、食事や日常生活、衣服の着脱から入浴、さらには排泄の場面まで・・・ありとあらゆる場面が見ず知らずの人に見られることを考えれば、これはレッキとした「プライバシーの侵害」である。しかし「現場実習」という名の元に、「勉強の一環」として利用者の生活を見させていただいているからこそ、プライバシーの侵害にはなっていない。
通所施設の実習でここまで考えるのは正直難しいとは思っているが、少なくとも様々な施設で実習をするということは、こういった意味を持っているのである。だからこそ、実習に臨むときは「失礼のない態度」が求められるのである。今回来た介護体験の学生は、明らかに利用者に対して「失礼な態度」であることはいうまでもない。
通所施設はたしかに「プライバシー」と言っても難しい部分があるが、それでも利用者にとっての「生活の一部」に関わっているのだから、やはり失礼な態度は許されるものではない。
ただし、介護等体験には「体験の評価」と言うものがなく、単に施設や養護学校で体験すればそれでよし、という部分があるからこそ、今回のように軽視されている部分があるのかもしれない。もし介護等体験にも評価制度があれば、当然実習生の態度も変わっているかもしれない。
何はともあれ、これから現場実習などに行く学生の人は、十分に態度には注意して欲しい。一人でも態度が悪い学生があると、実習生を受け入れた施設としては「この大学の学生の質は悪い」というスティグマを貼ることになる。そしてその後に待ち構えているのは・・・その学校からの実習拒否である。
「実習をする」と言うことは「個人のプライバシーに立ち入る」ものと、肝に銘じて欲しい。
(参考ページ これから福祉施設などへ実習に行く人へ-「御岳の山」より)
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